ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が
独断と偏見でオススメする今日の一本は、ワーナーブラザーズがおくる、感動のヒューマン映画「しあわせの隠れ場所」です。
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
作品紹介
実在するプロのフットボール選手マイケル・オアーが、全米アメリカンフットボールのNFLリーグ出場を果たすまでの物語を描いた、奇跡のヒューマンドラマ。
スラム街に生まれ、ホームレスのような生活を送っていた黒人青年マイケルは、ひょんなことから裕福な白人家族テューイ家に迎い入れられ、本当の家族のような愛に接しながら、その才能を開花させる姿を描く、実話を基にした心のこもったハートフルな映画です。
また、人種差別や格差を背景に、困難な状況に直面する家族の愛と勇気を描いた、感動的な作品でもあります。
2009年に製作された映画で、監督と脚本はジョン・リー・ハンコック、主演はサンドラ・ブロックが務めました。
そして、マイケル・ルイスの原作「ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇跡」は、マイケルの視点で描かれてますが、本作はリー・アンの視点で描かれております。
そのリー・アン役を演じたサンドラ・ブロックは、2010年の第82回アカデミー賞において主演女優賞にノミネートされ、主演女優賞を見事受賞。 また、第67回ゴールデングローブ賞の主演女優賞も受賞しました。
第82回アカデミー賞の作品賞にもノミネートされた本作は、北米3110館で公開され初登場2位、公開2週目で1億ドルを超え、3週目では週末成績1位となります。
さらに、公開7週目には2億ドルを超える大ヒットとなりました。
引用元:YouTube公式 / 「しあわせの隠れ場所」
見どころ&おすすめ
引用元:しあわせの隠れ場所 / © 2009 Alcon Film Fund, LCC
この映画は、実話を基に作られた作品だということが、最大のポイント。
ホームレス同然の生活を毎日送ってきた黒人青年マイケルが、里親になった家族の温かさにふれながら、アメリカンフットボールそして人として成長していく様を、さわやかな感動として観る側に届ける脚本はお見事です。
この映画は、人との絆(きずな)や家族の温かさを、大切にすることの重要性を再確認できる貴重な作品です。
また、アカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞を、はじめて受賞したサンドラ・ブロックの演技も注目すべきでしょう。
子供から家族、友人や恋人まで、大切な人と一緒に観るのがおすすめです。
人との繋(つな)がり、相手を思いやる気持ち、家族の温かさが必要な時にこそ、ぜひ!
感動もさることながら、幸せな気持ちになる、非常に満足度の高い作品。
観終えれば、きっと心がいっそうの幸せで満ちあふれていきますよ。
おすすめ度
★★★★☆ 4点
主要キャスト・スタッフ
リー・アン・テューイ (サンドラ・ブロック) |
マイケル・オアー (クイントン・アーロン) |
ショーン・テューイ (ティム・マッグロウ) |
スー夫人 (キャリー・ベイツ) |
コリンズ・テューイ (リリー・コリンズ) |
ショーン・ジュニア(S・J)・テューイ (ジェイ・ヘッド) |
バード・コットン (レイ・マッキノン) |
他 |
監督・脚本 | ジョン・リー・ハンコック |
原 作 | マイケル・ルイス |
製 作 | ブロデリック・ジョンソン |
アンドリュー・A・コソーヴ | |
ギル・ネッター | |
製作総指揮 | ティモシー・M・ボーン |
モリー・スミス | |
アーウィン・ストフ | |
他 |
2009年 公開 128分 アメリカ
2010年 公開 日 本
簡単な、あらすじ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
通称「ビッグ・マイク」と呼ばれている黒人青年マイケル・オアーは、幼いころにコカイン中毒の母親から引き離され、父親の顔も知らず、施設や友人知人の家を転々とするホームレス同然の生活を送っていた。
雨が降る感謝祭の前の夜、裕福な暮らしをし、2人の子供がいる白人のテューイ夫婦は、1人で雨の中を歩くマイケルに目がとまり、思わず声をかけ自宅に泊めてあげることにする。
夫人のリー・アン・テューイは、黒人で体格の大きなマイケルを最初は警戒するが、事情をきくと温厚で優しい性格と過酷な環境にいることが分かった。
そこで彼女は、マイケルのハイスクールでの連絡先となり、家に住まわせ部屋も与え、親の代わりとなって、彼を支援することを決める。
ハイスクールではテューイ家族の支えもあり、勉強にも精を出すマイケル。
また、入部したアメリカンフットボールでは、恵まれた体格と身体能力、そしてリー・アンの助言によってみるみると才能を開花させていく。
そして、悩みを抱えながらもマイケルは、一躍注目を集める選手へと成長していく。
ついには、大学強豪校のスカウトたちの目に留まるまでになるマイケルなのだが・・・
登場人物のキャラクター紹介
リー・アン・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
テューイ家の母親で、インテリアデザイナーの仕事をしている。
一家を引っ張るしっかり者だが、せっかちではっきりとした物言いをする男勝りな性格。 半面、人の苦境を放ってはおけない、人情味ある根の優しい女性。
マイケル・オアー
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
コカイン中毒の母親から幼いころに引き離され、里親を転々とし転校を繰り返す境遇にいたが、寡黙で争いを好まない優しい性格。 恵まれたその体格から「ビッグ・マイク」と呼ばれているが、大きな体を軽やかに動かせる身体能力をもっている。
ショーン・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
テューイ家の父親で、85店舗ものファーストフード店を経営するオーナー。
せっかちなリー・アンとは対照的で、いつも彼女を支え包み込むような優しさとおおらかな性格をもっている。 リー・アンのよき理解者。
コリンズ・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
テューイ家の長女。
年頃の娘だが、すんなりマイケルを温かく迎え入れる、優しい女の子。
ショーン・ジュニア・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
通称S・Jで、テューイ家の長男。
マイケルのことを、兄貴のようにしたい、時には相棒として、時には彼のコーチとして、またマイケルにオファーをしてくる大学関係者との交渉役など、2人は大変仲良し。
スー夫人
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
マイケルの家庭教師。
毎日マイケルの勉強をみているうちに、家族も同然の関係となり、彼の大学入学後は大学近くに引っ越ししてまで家庭教師を続けた。
バート・コットン
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
ウィンゲート校でアメリカンフットボールのコーチをしている。
マイケルの身体能力の高さに気がつき、バートの後押しでウィンゲート校への転入が決まる。
名 言 集
「笑顔だよ、友達になりたかったら」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
無愛想なマイケルが、校庭で遊ぶ白人の女の子たちに挨拶するも、彼女らはその場から逃げてしまう。
そのことに引け目を感じているマイケルに、はじめてS・Jがいう言葉。
いきなり知らない人間、しかも白人の少年が、黒人の自分になんの抵抗感ももたずに話しかけてくることに戸惑うマイケル。
身分、環境、肌の色の違いなんて気にしない、関係ない。 先ずは笑顔で接すれば相手も心を開いてくれることを、教えてくれました。
「いいえ、その逆よ。 彼が私の人生を変えているの」
引用元:しあわせの隠れ場所 / © 2009 Alcon Film Fund, LCC
リー・アンが、白人のセレブな友人たちとランチを楽しんでいるとき、黒人マイケルのことが話題になり、友人が「黒人の男の子を家に迎え入れるなんて中々できないことよ、あなたは彼の人生を変えたわ」と言う。
そこで、静かに彼女が言う言葉です。
マイケルの人生が劇的に変わったのは事実だが、リー・アン家もまたマイケルと出会い、家族や人生、周りの事柄について色々と考える良い機会になったのです。
人との出会いは、今まで自分には見えなかったことに気づかせてくれる、何かを与えてくれる、大事なきっかけになることを教えてくれます。
「何で? 家でも一緒に勉強するでしょ」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
スクールの図書館にやってきたマイケルだが、白人生徒の目が気になり、気まずそうに誰もいない席で勉強をはじめます。 その近くで友人たちと勉強をしていたコリンズが、そこの席を離れマイケルと同じ机で勉強を始めます。
「なぜ、自分なんかと?」と疑問におもうマイケルに、コリンズが言う言葉。
自分にとって大切な人のことは、周りからどのように思われても、一緒にいたいと思うことは当たり前のことだと、気づかされます。
「チームは家族よ。 敵のチームから仲間を守りなさい」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
アメリカンフットボールのルールを良く理解できず、とにかく相手を怪我させないようにプレイをするマイケル。
それを見かねたリー・アンが、マイケルに言う言葉です。
「チームは家族と同じなの、あなたは敵のチームから仲間を守らなきゃ」 「クォーターバックを私だと思って守りなさい。 テールバックはS・Jだと思って敵を近づけさせないようにするの。 コリンズもショーンもチームの中にいるわ」とアドバイスをする。
暴力を嫌う性格と保護本能にひいでたことを、ちゃんと理解している母親ならではのアドバイス。
スポーツをはじめ団体行動というのは、仲間は自分の家族だという考えで貢献するのだと、改めて納得しました。
「家に帰そうと思って」
試合中、相手チームの65番の選手から、嫌がらせ行為を執拗に受けるマイケル。
それを審判に猛抗議するバートコーチとの間に、絆が生まれます。
そのおかげで覚醒したマイケルは、相手選手を次々と止め、65番選手にいたっては、タックルしたままコートの外まで押し出し、審判に反則を取られてしまいました。
そんなことを普段はしないマイケルの行動を不思議がっている、バートコーチに言うマイケルのユーモアたっぷりな言葉。
「すみません、バス停まで連れて行けませんでした。 (65番選手を)家まで帰そうと思って」と真顔でアメリカンジョークを言うマイケル。
思わず笑ってしまう、スカッとする場面です。
「口を閉ざし、問うことをせず、従いて命を散らす」
学年末の小論文を書くことになったマイケル。 題材に悩んでいたマイケルにショーンがすすめたのは「軽騎兵団の突撃」という有名な詩の言葉でした。
600騎もの兵たちが、勝機もなく司令官のミスだと分かっていても、「死の谷」へと向かう内容の詩です。
司令官の言うことに、口ごたえも疑うことも許されずに、死を覚悟して前に進む騎兵隊を称賛したこの詩が、アメリカンフットボールの道を進むマイケルに、ぴったりだとショーンは考えたのでしょう。
この言葉は、「誰かの命令だからではなく、自分が信じたことに対して勇気を持って突き進む」ことを、表しているのでしょう。
「子供のために正しいことをしているのか」ということを自問自答しながら、子供と接しなければいけないと、気づかされます。
「あなた自身の人生だもの。 あなたが決めることよ」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
大学の進路で疑心暗鬼となったマイケルが家を飛び出した翌日、リー・アンと真剣に話し合います。
自分と夫のショーンが卒業した大学だから、大学に寄付をしているから、勝手に自分の母校に進学させようとしたことを素直に話し、マイケルに謝罪をします。
その時に、マイケルへの想いを込めて口にした言葉です。
そしてマイケルは「自分の家族と同じ、ミシシッピー大学へ進学する」と決心します。
「相手が何をしたいか」の気持ちを尊重し、それを側で支えてあげることこそが相手はもちろん、自分もしあわせになるために必要なことなのだと思いました。
「つらいことがあったら目をつぶりなさい」
マイケルの生みの親、デニース・オアーがマイケルに小さい時から聞かせていた言葉です。
もちろん、現実を直視する勇気は大切ですが、ときには勇気をもって目を閉じて心の平静を保つことも大事なことだと、教えてくれました。
さらに、この映画を考察!
原作のタイトル「The Blind Side」とは
アメリカンフットボールの用語で、クォーターバックの利き腕と反対側の死角のことを表します。 また盲点とも表します。
その死角を守る守護神的な役割が、マイケルのポジションです。
「幸せの隠れる場所」とは
恵まれない一人の黒人青年を、裕福な白人家族が援助をし、その青年が才能を開花させ恩返しをする物語なら、たぶん良くある話なのですが、実はもっと奥が深いのです。
まずは、これが実話であること。
そして肝心なのは、ほどこしを受ける者と与える者との関係ではなく、お互いが与え合う関係、お互いがお互いを必要とする関係なのです。
恵まれたテューイ家には思いもつかなかった、当たり前の豊かさへの感謝を、マイケルから改めて教えてもらいました。
テューイ家族にとってマイケルは、日常に隠れている幸せを、まるで花の芽がパッと開くように教えてくれる存在なのです。
「The Blind Side」は「幸せの隠れている場所」を表し、だから映画のタイトル「しあわせの隠れ場所」となったのではないでしょうか。
実話との相違点
原作は、マイケル・オアーの波乱万丈の半生とアメリカンフットボールの世界に焦点を当てているのに対して、本作はテューイ家の主婦リー・アンを主人公したため、少なからず脚色が加えられている。
実はマイケルは、リー・アンと出会う前から、通っていたハイスクールのアメフト部のオフェンスラインマンとして活躍していた。
本作でのコリンズは、口数が少なく静かにマイケルを支えている印象があります。
しかし実際は、物語の役どころ以上にマイケルの支援を行なっていました。
また、コリンズの友人がマイケルを無視している設定ですが、実際には親しくしていたそうです。
本作のバートコーチは、間抜けなお人好しにされていますが、実際は優秀なハイスクールのコーチとして活躍しています。
マイケルはハイスクールの成績を通信教育で補強したことを本作では、はぶかれております。
サンドラ・ブロックと実際のテューイ家
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
この映画をきっかけに、サンドラ・ブロックとテューイ家は親交を深め良き友人となっています。
実際に、マイケルの試合を一家と一緒に観戦するサンドラ・ブロックが度々目撃されているそうです。
感 想
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
これぞ、無償の愛!
実際、このように素敵な心を持つ家族が居らっしゃるのですね。
マイケル・オアー役のクイントン・アーロンは、この映画でメジャーデビューしたらしく、言葉数の少ない役どころで、彼の哀しそうな表情が印象的でした。 大きな図体のくせに、たまに見せる笑顔がかわいく、迷える子羊さんのようで、この役にピッタリ。
あえて、サンドラ姉さん、主演女優賞受賞おめでとう!記憶が正しければ、初の主演女優賞ですね。 キリッとした役どころのリー・アンとサンドラ姉さんのキャラクターとが見事にマッチングした結果でしょう。
余談ですが、サンドラ姉さんをはじめて知ったのは、キアヌ・リーブス主演の映画「スピード」で、その頃から気になっていた女優さんです。
また他の俳優陣も、それぞれの役を非常に自然に演じ、思わず感情移入してしまうほどの演技を見せてくれます。
この作品は、お涙頂戴的な感動巨編ではなく、「他人の優しさで、自分の人生を大きく変えることが出来る」ことを、観ているこちらに伝えているような、奥の深い内容だと思いました。
また、心に残る名言が多くあり、そのたびに胸がジーンとしみます。
その言葉で、こちらに勇気や希望を与えてくれる、そんな感覚を憶えたのが印象的です。
観た人はきっと、誰かにやさしくしたくなる。 真実にもとづいた珠玉の作品でした。
あらすじ
ー 出会い ー
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
アメリカ合衆国はミシシッピー州メンフィスのスラム街で生まれ育った、17歳の黒人マイケル・オアー青年は、幼いころに母親と引き離され父親の顔も知らず、友人知人の家を転々とするホームレス同然の身であった。
彼が、知人のハミルトン家族に生活の面倒をしばらく見てもらっていたある時、その家族の息子がクリスチャン系のウィンゲート校へ入学する際に、なんとマイケルも一緒に入学を認められたのだ。
当初は、出生記録や年齢、学校の記録もなし、また著しく学力も低い彼の入学を当初はスクール側が断ったのだが、大きな体に似合わず俊敏に動く身体能力と、ハミルトン家とアメリカンフットボールコーチのバート・コットンらの推薦により、入学が決まったのだった。
マイケルは「ビック・マイク」というあだ名をつけられ、スクール生活をスタートさせるが、まったく授業について行けず、人とコミュニケーションを取るのが苦手で、あまり感情を表に出さない性格から、クラスで孤立状態となり浮いた存在だった。
そのことで、入学の後押しをしてくれたハミルトン家にも居づらくなり、最後は行く当てもないまま家を出て行ってしまい、スクールで野宿する事になってしまう。
リー・アン・テューイは、携帯電話で忙しく仕事の話をしながら、娘のコリンズ・テューイのバレーボールの試合へと駆けつけ、先に観戦していた夫のショーン・テューイと息子のS・J・テューイと合流し、熱い声援を送っていた。
テューイ家は4人家族。 裕福な家庭で、愛情にあふれた温かい家族である。
娘のコリンズと息子のS・Jは、マイケルと同じスクールに通っていたので、観客席の端にはマイケルの姿もあった。
感謝祭の前夜、凍えるような夜の道を薄着で学校方面にとぼとぼと歩くマイケルを、リー・アンは見かける。 彼が、子供たちと同じスクールに通う「ビッグ・マイク」だと気づき、ただ事ではないと感じ、夫に車を止めさせ家に連れて帰ることにした。
マイケルの生い立ちを考えると、グレて犯罪に手を染めてもおかしくない境遇なのに、優しい性格のまま青年になったことは驚きです。
この奇跡の出会い、そして運命の出会いからマイケルの人生の新たな扉が開かれるとは。 感謝祭、マイケルにとって本当に、生きていることに感謝する日になるなんて、神様に感謝です。
ー そして家族になる ー
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
一晩だけ、温かい寝床を与えるつもりで、マイケルを家に招く。
だが、彼が何かしでかさないか不安だった。 しかも家には年頃の女の子もいる。
翌朝になると、寝かせてもらったソファーの上に、きれいに畳まれたシーツ類を置き、黙って家を出ようとするマイケルを「感謝祭は家族と過ごすものよ」とリー・アンは呼び戻す。
その感謝祭の夜、テューイ家族は皿に盛られた料理をTV鑑賞しながらソファーで食べている中、マイケルはダイニングできちんと座り大きな体を小さく丸めて静かに食べていた。
それを見たリー・アンは、全員で食卓を囲みマイケルも一緒に手をつないでお祈りをしたのだった。
そしてマイケルはテューイ家にとどまることになる。
リー・アンはマイケルに、ここに居たいかどうかをたずねると、マイケルは他には行きたくないと答えたので、ソファーではなく部屋を用意することにした。
初めてだと喜ぶマイクに、リー・アンが「自分の部屋が?」と尋ねると、ベッドで寝ることだと指をさし、リー・アンは胸が詰まる思いがした。
マイケルは過去に受けた職業適性テストで、ほとんどの項目が最低ラインしかない状態だった。 しかしひとつだけ高い数値があった。 それが保護本能で、これがのちにマイケルの才能を大きく開花させることになる。
体の大きさにそぐわず物静かで控えめなマイケル。
自分の想像以上の過酷な環境で育った彼に心を痛めるリー・アン。
季節はクリスマスの時期になり、テューイ家のクリスマスカードにのせる家族写真には5人で写真を撮った。
一方スクール内で、コリンズはクラスメートから心無いことを言われるが、マイケルのことを家族として堂々とふるまい、S・Jはマイケルのことを兄貴だと自慢をするほど。 もちろん、夫のショーンもマイケルを家族にすることに大賛成である。
こうしてテューイ家にマイケルは家族として迎い入れられたのだった。
マイケルには、兄弟姉妹が12人もいることが分かり、リー・アンは彼の母親を探しに行く。
マイケルの母親は、父親が違う子供を沢山産み、しかもコカイン中毒ではあったが、子供への愛情がない女性ではなかった。 マイケルが里子に出された7歳のときから、いつも逃げ出しては自分のところに戻ってきたと、その母親は語った。
リー・アンは、あなたはいつでも彼の母親ですと言い、そして自分の家に引き取る話をはじめる。
マイケルの並外れた保護本能は、家族を守ることから来ていたのだ。
裕福な白人と恵まれない黒人という格差の現実があります。
善意に溢れたテューイ家へ心優しいマイケルが家族になるという話、これは実際の話だと思うと、感慨深い気持ちになります。
ただ、マイケルの生みのお母さん、生まれてくる子供のことをもう少し考えようか!
ー 保護本能 ー
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
マイケルは、アメリカンフットボールコーチのバートの勧めや恵まれた体格を活かすため、アメリカンフットボール部へ入部する。
その入部初日、マイケルの勇姿を見ようとリー・アンとショーンが駆けつける。
劣悪な環境で育った人間は暴力的になることがあるが、マイケルはその暴力や衝突を避けているようだった。 相手選手を怪我させないため、タックルをちゅうちょしていた。
たまらずコーチのバートは、秋までに上達しなければ退部だと言い放つことに。
S・Jは、マイケルがルールを知らないからだと考え、コーチ役となりトレーニングメニューを作りマイケルの指導をはじめるほどに、兄貴マイケルのことをしたっていた。
ある日、マイケルの練習を見ていたリー・アンは、チームの練習を止めてまでコートの中に入り、マイケルに助言をするのだった。 「チーム全体を家族と思いなさい。 彼らはあなたの兄弟。 クォーターバックを私だと思って守って」
リー・アンからの助言を受けて、マイケルのプレイは飛躍的に良くなったのである。
ある試合で、劣勢に立たされたマイケルのチーム。
しかも相手選手から、マイケルは自分のヘルメットを蹴られ暴言を吐かれてしまうが審判は見て見ぬふり。
それを見ていたバートコーチは審判に猛抗議をするが、逆に侮辱行為だとイエローフラッグが出てしまう。 それでもバートコーチは「マイケルは息子も同然だ」と詰め寄る。 そこへ割って入ったマイケルは「コーチは僕が守ります」と話す。
この瞬間、マイケルとバートコーチとの間に絆が生まれる。
その後、アイケルは覚醒し、チームは大逆転の勝利をおさめるのだった。
S・Jは、マイケルが相手選手を場外に吹き飛ばすシーンをDVDに焼き増しし、「ターミネーター マイケル・オアー」と題し各大学へ送ると、各大学のコーチが練習を見に駆けつけ、多くの大学からオファーが殺到する。
しかし、奨学金をもらいながら大学に行くには、学力が圧倒的に足りなかった。
そこでリー・アンは、マイケルに家庭教師をつけることにした。
家庭教師のスー夫人は、マイケルを時には励まし、時には奮い立たせ、マイケルの学力を上げるために必死に頑張ってくれた。
昼間は学校の勉強とアメリカンフットボールの練習、夜はスー夫人との勉強と、マイケルの一日は忙しく、毎日がめまぐるしく過ぎて行く。
そしてマイケルはついに、ウィンゲート校を無事に卒業することができ、ミシシッピー大学への進学も無事に決めたのだった。
テューイ夫婦は自分の子供である、コリンズやS・Jとまったく変わらず全力でマイケルを育てあげたことに脱帽です。 その決断力や実行力は本当に凄い、並大抵な気持ちだけではとても出来ないとだと思います。
セレブなお金持ちの、一時的なほどこしではなかったのです。
差別の残る南部でのお話です。 物語では描かれてはいないのですが、一家をとりまくセレブな環境やその周辺の人たちたちからは、結構なバッシングがあったのではないかと想像してしまいます。
ー 大学への旅立ち ー
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
大学への準備をしている最中、全米大学体育協会から調査が入る。
マイケルと同じミシシッピー大学出身のテューイ夫妻が母校へ有力な選手を送り込むために、マイケルを家族に迎い入れたのではないかとの疑いをもたれてしまう。
さらに、家庭教師のスー夫人も同大学の出身であった。
体育協会にマイケルは口では違うと否定をするが、疑心暗鬼となって家を飛び出し、実母の住むスラム街に行ってしまう。
次の日、リー・アンはマイケルを探しに実母のいるスラム街へ向かうと、ちょうどマイケルからコインランドリーで待っていると電話が入る。
そこで2人は昨夜のこと、母親のこと、大学のことなど、色々と話し合った。
リー・アンはマイケルに「どうして、ここに染まらずにすんだの?」と質問すると、マイケルは幼いころの話をしはじめる。
悪いこと、醜いことがあったら目をつぶっていなさい。
目をあけたら、そこには良い世界があるからと、母に言われた、と。
その母親の精一杯の言葉が、マイケルを守ってきたことを、リー・アンは知った。
そしてマイケルは考え、改めてミシシッピー大学への入学を決意する。
家族と離れてしまうが、スー夫人も大学の近くへ引っ越し、これからもマイケルの勉強の面倒を見てくれることになった。
引っ越しの日、意地っ張りなリー・アンは涙を隠そうと一人先に車へと戻ろうとすると、マイケルは追いかけてきて、つよくハグをするのだった。
この映画の最後に、マイケルがHFLの1巡目でボルティモア・レイブンズに指名された、実際の映像で締めくくられます。
とても心にしみる、最高に温かい映画でした。
引用元:しあわせの隠れ場所 / © 2009 Alcon Film Fund, LCC