ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が
独断と偏見でオススメする今日の一本は日本のアニメ、恋愛・ファンタジー映画「君の名は。」です。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
作品紹介
本作は、監督・脚本を務めた新海 誠の6作目の劇場アニメーションで、2016年に完成し同年8月に公開されました。 また、主演の声優に神木 隆之介と上白石 萌音が務めました。
東京に暮らす少年・瀧と飛騨地方の田舎町に住む少女・三葉の2人の身に起きた「入れ替わり」という謎の現象と、1200年ぶりに地球に接近する「ティアマト彗星」をめぐる出来事を描きます。
東宝が配給を担当し、全国301館で公開が開始。 公開3日間で96万人を動員し、興行収入12.8億円を記録。 そして、公開から28日間の興行収入で100億円を突破し、日本のアニメーション監督では宮崎 駿につづく2人目の快挙となりました。
さらに、15週目には興行収入が199億円を突破したため、邦画歴代2位に浮上します。 しかし、2020年公開の「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が約404億円で1位となり歴代3位となりましたが、2024年時点で累計約251億円の興行成績を収めております。 ちなみに歴代2位は「千と千尋の神隠し」の約316億円です。
また本作は、世界125の国と地域に配給され、2019年時点ですが全世界での累計動員数は4000万人に達しました。
第40回日本アカデミー賞にて、優秀アニメーション作品賞、優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀音楽賞、話題賞(作品部門)をそれぞれ受賞し、さらに多くの賞を獲得・ノミネートされるなど、深海 誠監督の最高傑作となりました。
引用元:YouTube公式より / 「君の名は。」:東宝MOVIEチャンネル
見どころ&おすすめ
原因不明の入れ替わりを経験した主人公の2人が、苦労しながらも互いに惹かれ合っていく過程と、2人の隔たりと繋がりから生まれる「距離」のドラマを描いたストーリーは注目です。
男女が入れ替わるさまをコミカルに描きつつ、謎の彗星が地球に近づいてくる壮大な展開とのギャップは、予想もつかないストーリーへと展開していく内容は見どころです。
田舎のあぜ道や自然豊かな景色、一方で都会にそびえ立つビル群など、現実に良く見たことのある風景を、圧倒的な映像美で描いた描写も見どころポイント。
現実ではない描写なのに、「日本ってこんなに綺麗なんだ」と勘違いして感動してしまう映像は必見です。
また、「君の名は。」の音楽は、日本のロックバンドのRADWIMPS(ラッドウィンプス)が担当しておりますが、映像とストーリー展開にぴったりな楽曲が提供されているのも注目でしょう。
観ていて鳥肌もんに気分が高揚するのは、音楽のチカラだと実感しますよ。 必聴です。
新海 誠監督の最高傑作にして不朽の名作となった本作は、老若男女問わず全ての方に観ていただきたい作品です。
是非とも、独特な世界観を持った新海 誠ワールドを堪能してください。 おすすめです。
おすすめ度
★★★★☆ 4点
主要キャスト・スタッフ
| 立花 瀧 (声:神木 隆之介) |
| 宮水 三葉 (声:上白石 萌音) |
| 宮水 四葉 (声:谷 花音) |
| 宮水 一葉 (声:市原 悦子) |
| 宮水 俊樹 (声:てらそま まさき) |
| 勅使河原 克彦 (声:成田 凌) |
| 名取 早耶香 (声:悠木 碧) |
| 奥寺 ミキ (声:長澤 まさみ) |
| 藤井 司 (声:島崎 信長) |
| 高木 真太 (声:石川 界人) |
| 他 |
| 監 督 | 新海 誠 |
| 脚 本 | 新海 誠 |
| 原 作 | 新海 誠 |
| 製 作 | 川村 元気 |
| 武井 克弘 | |
| 伊藤 耕一郎 | |
| 市川 南 | |
| 川口 典孝 | |
| 太田 圭二 | |
| 製作総指揮 | 古澤 佳寛 |
| 他 |
2016年 公開 107分 日 本
登場人物の紹介
ここでは、主要な登場人物を紹介します。
立花 瀧(たちばな たき)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
東京の都心に住む高校生男子。 2016年夏の時点では17歳で、東京都立神宮高校の2年生。 霞が関が勤務地の父親と2人暮らし。
家から東京タワーが見える場所に住んでいる。 性格はちょっと気が強いが普通の性格で、絵を描くのが得意である。 建築や美術に興味がある。
イタリアンレストラン「IL GIARDINO DELLE PAROLE」でウェイターのアルバイトをしており、バイト先の先輩である奥寺 ミキに好意を密かに抱いている。
宮水 三葉(みやみず みつは)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
岐阜県は糸守町という山深い田舎町に住む高校生女子。 岐阜県立糸守高校の2年生で、2013年夏の時点では17歳なので 実際は三葉の方が瀧より3歳年上となる。
妹の四葉とともに宮水神社の巫女(みこ)を務めている。
好きな動物はハリネズミ。 大雑把な性格だが、裁縫ができるなど女性らしい一面がある。
母親の二葉は、すでに病気で他界している。 町長である父親の俊樹は家を出てしまったため、祖母の一葉と妹の3人暮らし。
宮水 四葉(みやみず よつは)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
三葉の妹で、2013年の時点では小学4年生。 姉と違って細かいことを気にしないしっかりした性格で姉と違って細かいことを気にしないタイプ。
祖父や姉と一緒に神社の家業を手伝っている。
宮水 一葉(みやみず ひとは)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
三葉と四葉の祖母で、宮水神社の宮司。 2013年時点で82歳となり、三葉と瀧の「入れ替わり」に気づいた唯一の人物。
宮水 俊樹(みやみず としき)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
三葉と四葉の父親で、宮水家に来た婿養子。 民俗学者で2013年時点では54歳。
宮水神社に婿入りして神職に就いたが、妻の二葉を亡くした後に一葉と対立して、神職を棄(す)て糸守町の町長になった。
勅使河原 克彦(てしがわら かつひこ)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
三葉の同級生で、2013年時点で17歳。 あだ名は「テッシー」、坊主頭が特徴の高校男子。 勅使河原建設の社長の息子。
月刊「ムー」を愛読し、オカルト好きの機械オタクで、三葉に好意を抱いている。
名取 早耶香(なとり さやか)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
三葉の同級生で、17歳。 あだ名は「サヤちん」。 地味で穏やかな性格だが、勅使河原に好意を寄せている。
奥寺 ミキ

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
瀧のアルバイト先の先輩。 美人でお洒落な優しい性格の女子大生だが、喫煙者である。
同じアルバイト先で働く多くの男子から好意を持たれている。
藤井 司(ふじい つかさ)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
瀧の同級生。 瀧と同じく建築に興味を持つ高校男子で、クールな性格。
瀧、高木と同じレストランでアルバイトをしている。
高木 真太(たかぎ しんた)

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
瀧と同級生の高校男子。 見た目は体育会系の大柄な外見だが、サッパリした性格。
瀧、司と同じレストランでアルバイトをしていて、2人と同様に建築に興味がある。
簡単な、あらすじ

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
1200年ぶりとなる「ティアマト彗星」の接近を1か月後に控えた日本。
岐阜県の山間にある小さな田舎町に暮らす宮水 三葉は、家系の古き風習や田舎特有の閉鎖的な環境が気になる年頃だけに、毎日が憂鬱だった。
三葉は毎日息苦しさを感じながら、「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい」と叫ぶのだった。
そんなある日の朝、三葉が目を覚ますと、なぜか東京に住んでいる高校生の立花 瀧と入れ替わっていた。
見覚えのない部屋、目の前に広がる大都会の街並み、そして身体的な変化に戸惑う三葉だったが、念願だった東京での生活を満喫するのだった。
一方の三葉に入れ替わった瀧もまた、行ったこともない山奥の町で女子高生になり、慣れない身体と生活に苦労していた。
繰り返される不思議な夢。 そして、抜け落ちている記憶と時間。
2人は、この入れ替わりを夢だと思い込んでいたが、周囲の反応や周りに与えている影響から、現実に起きている現象だと気づく。
「私/俺たち、入れ替わっている!?」
2人は互いに厳格なルールを決め、お互いの生活を守ろうと奮闘する。
いつしか気持ちが打ち解けてきた矢先、突然ある日を境に入れ替わりが起きなくなってしまう。 三葉を忘れられない瀧は、彼女が住んでいる糸守町の記憶を頼りに探そうと決意する。
まだ会ったことのない君を探しに。
そして、たどり着いた先には、意外な真実が待ち受けていたのだ・・・

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
「君の名は。」の時系列を考察
本作を観ていると、単純な入れ替わりとは違い、そこには時間軸が3年ほどズレていることに気がつきます。
物語に登場する瀧と三葉は、ともに高校2年生ですが、
立花 瀧は2016年時点での17歳
宮水 三葉は2013年時点での17歳
ともに17歳ですが、生きている時代が違うのです。
とくに初見だと「ん?、どういうこと?」と混乱してしまいますね。
ということで、本作の時系列を探っていきたいと思います。
時系列を整理
ここでは、本作の進行順序ではなく、物語の内容を時系列順で並べて整理してみましょう。
もちろん、過去から現在へと順番に進んでいきます。
糸守町の三葉の場合
三葉と四葉の母である二葉が病死し、父親の俊樹が神社を棄てて出ていき、糸守町の町長になる。
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高校2年生になった三葉は、瀧と入れ替わりがはじまる。
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三葉が瀧に会うため東京に行く。(高校2年生の三葉は、中学3年生の瀧と出会う)
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三葉は髪を切る。 そして、町内の祭りが始まる。
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糸守町に彗星が落ちる。(この時、中学3年生の瀧は東京でベランダから彗星を眺めている)
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カルデラの山頂で三葉は、瀧と出会う(再会する)。
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糸守町の町民が避難して、全員が助かった。
東京の瀧の場合
高校2年生の瀧と三葉(3年前の三葉)との入れ替わりがはじまる。
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不定期の入れ替わりを楽しむ、そして奥村先輩とデート。
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三葉との入れ替わりが突然途絶える。
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記憶を頼りに糸守町にたどり着くが、3年前の彗星落下により町が消滅していることを知る。
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3年前に奉納した三葉の「口噛み酒」を飲んで、入れ替わりに成功する。
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カタワレ時の山頂で三葉と出会う。
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三葉のことは忘れてしまい、「入れ替わり」という不思議な出来事から5年の月日が経つ。(隕石の衝突から8年後)
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大人になった2人は、東京の神社の階段で再会を果たす。
以上が物語の出来事を時系列で並べてみた内容です。
一見複雑そうでも、時系列ごとに並べると分かりやすくなりますね。
物語の時間の経過
そして、物語に沿った時間の流れも簡単に紹介していきます。
◎ 2013年9月2日の夏から三葉、2016年9月2日の夏から瀧が、
お互いに入れ替わる現象が始まる。
◎ 2013年10月4日の20時42分に、ティアマト彗星の破片が糸守町に落下する。
◎ 2016年11月ごろの晩秋に、瀧、奥寺、司の3人が岐阜県飛騨地方を訪れる。
◎ 2021年の秋、糸守町への隕石落下から8年。
◎ 2022年4月、桜満開の雨上がりの朝、瀧と三葉が再会する。
時系列を考察
ここで疑問が生まれます。
町民が全員助かったのなら、瀧が生きている3年後の時代でも、糸守の人々は生きていることになります。
そうなると、この作品が成り立たなくなりますし、矛盾が生じます。
この疑問を解くカギは、糸守にあるカルデラの山頂での出来事にありました。
物語も佳境に入ったとき、最後の入れ替わりをした瀧と三葉は山頂に向かいます。
そして、黄昏時(たそがれどき)=カタワレ時(糸守町での呼び名)になった瞬間、2人は元の身体に戻って再会するのです。
ここで重要なのが、この時の2人は共に高校2年生の17歳だったということ。 2人は時を超えて直接会話ができたのです。
黄昏時(カタワレ時)は、あの世とこの世が繋がる時間だと推察しました。
2つの世界が繋がったとき、時間の概念が失われるのです。
だから、死んだはずの三葉と現世に生きる瀧は出会うことができたのです。
そして、黄昏時が終わった時、瀧は三葉に関する記憶がなくなってしまいます。
なぜ記憶がなくなってしまったのかというと、三葉たち糸守町の人々が助かったからです。
つまり、歴史が変わったのです。 すべては「なかった事実」となったのです。
被害に遭った人々、壊滅した町、そして図書館にあった被害者名簿などは、日没と同時にその事実は消滅したのでしょう。 当然、三葉も瀧の記憶は一切ありません。
それともう1つ。
代々宮水家の女性の巫女には、未来の人間と入れ替わる能力があったのではと想像しましたが、はたして・・・?

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
ちなみに、
黄昏時(たそがれどき)は、夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さの時間帯を表します。
対になる表現として、カタワレ時(「彼は誰時」ともいいます)は、夜明け前を表します。
「君の名は。」を徹底考察
ここではさらに、推察を含め、本作を深掘りしていきましょう。
糸守湖と宮水家
「君の名は。」この物語は、1200年前から始まっていました。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
1200年前、のちに糸守となる場所に隕石が落下したのです。 この隕石落下の衝撃で、糸守湖が形成されました。
のちに「ティアマト彗星」と名づけられたこの隕石は、1200年周期で地球に近づき、時には隕石の一部が落下して大災害を引き起こしていたのです。
ご神体のある祠(ほこら)の中には、彗星が落下する壁画が天井に描かれておりました。 昔から人々は、周期的に彗星が落下することを理解していたと推察します。
以来、次の大災害から糸守を守るため、宮水家の女性たちによる「入れ替わり」が始まったのです。
隕石落下から1000年後、つまりこの物語の始まりより200年も前の話。
山崎繭五郎なる人物が起こした火災、「繭五郎の大火」と呼ばれる大火災により、数々の文献が焼失し、宮水神社の神事に関する記録もすべて焼失してしまいました。 わずかに残った演舞や口嚙み酒などの伝統が継承されてきました。
さらに時は進んで、約70年前。
三葉の祖母の一葉も誰かと入れ替わりが行われたのでは。 さらに、三葉の母親である二葉も、夫になった俊樹と入れ替わったのでは、と推察しました。
なぜなら、三葉の中の瀧が、父親の俊樹に詰め寄ったとき、俊樹が「おまえは誰だ!」と叫んだのは、三葉の異変(入れ替わり)を感じとったからで、過去に自分も経験していたから分かったのです。
想像ですが、三葉や四葉の子供にも入れ替わりの力が継承され、次の彗星落下(1200年後)に備えるんだと思います。
1200年後の地球は? はたして、人類は繫栄しているのでしょうか?
三葉が流した涙の理由

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
三葉は、自分が奥山先輩とデートできなかったことを残念に思い、そのときなぜか涙を流します。
自分がデートできなかったから、または三葉が奥山先輩のことを好きだったからと勘違いしそうです。
実は、奥山先輩とデートをしている瀧のことを想い、涙を流していたのです。
この時、すでに三葉は瀧に恋をしていました。
また、最初は奥山先輩に惹かれていた瀧ですが、彼もまた同じく三葉への恋心を自覚するようになっていきます。
三葉が髪を切った理由
三葉が東京に行った理由は、瀧に会いたかったからです。
彼女の心に、自分は瀧に恋をしていることを認識してしまったから、彼に会いに行ったのです。
ただ、三葉の時間軸(3年のズレ)では瀧は中学生で、三葉のことは知らなかったのです。 彼女は、自分のことを覚えてくれていないと勘違いしてしまいました。
それは、失恋に近い気持ちだったのでしょう。
テッシーが髪を切った三葉を見て「失恋したんか」とつぶやきます。
なかなか鋭い指摘でした。
キーワードとなるセリフ
組紐を編んでいるときや、ご先祖様の墓参りのシーンで、一葉はこんな話をします。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
「土地の氏神さまのことを、古い言葉で産霊(むすひ=むすび)って呼ぶんやさ。」 「糸を繋(つな)げることもむすび、人を繋げることもむすび、時間が流れることもむすび、全部同じ言葉を使う。」 「それは神様の呼び名であり、神様の力や。」 「わしらの作る組紐も、神様の技、時間の流れそのものをあらわしとる。」
「より集まって形を作り、ねじれて絡まって、時には戻って、途切れ、また繋がる。 それが組紐。 それがむすび。」
これは本作の冒頭で、一葉から組紐の深い意味が語られたセリフです。
本作は、時系列が複雑ですが、このセリフは物語の流れを表した表現なのです。 作品の中に盛り込まれた数々の話が集まり、時間が絡まり、時には戻って、そして途切れて、最後はすべてが繋がっていきます。
三葉と父親の俊樹、そして三葉と瀧。 お互いねじれた関係から、いったん途切れ、最後はまた繋がる関係でした。 組紐の意味合いは、人間関係とも重なっていました。
まさに、一葉の語った言葉と重なります。
「君の名は。」は、人と人が繋がる大切さをテーマにした作品でありました。
時空を超えるアイテム
先ずは「組紐」。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
時間のズレがあるとは思わない三葉は、瀧に認識されなかったことに傷つきます。
しかし、別れ際に三葉は、「組紐」を瀧に渡します。
これで2人の間に「ムスビ」が生まれ、絆(きずな)ができました。
この組紐は、時空を超えるアイテムなのだと解釈しました。
ただし、お互い違う時代であれ、三葉が生きている場合に有効なアイテムなのです。
ちなみに、組紐とは。
日本には、仏教の伝来により、仏具、仏典、巻物などの付属品として渡来します。 奈良時代には礼服として、鎌倉時代には武具の一部、安土桃山時代には茶道具の飾り紐として使われてきました。
現在でも、東京、京都や伊賀などでは伝統的に組み紐業が盛んだそうです。
組紐は、お互いが生存しているときに使用できますが、三葉が隕石落下で亡くなってしまった場合には有効ではありません。
次に「口嚙み酒」。
そこで、口嚙み酒が登場します。
口嚙み酒であれば、亡くなった人にも会える究極のアイテムだったのでしょう。
そして、三葉が作った口嚙み酒を口にした瀧は、もう存在しない三葉に会うことができたのです。
きっと、糸守に住む宮水家の先祖たちは、いざという時のために組紐だけではなく口嚙み酒を用意して、子孫が生存できる可能性を高めようとした先人たちの知恵なのだと考察します。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
ちなみに、口噛み酒とは。
穀物、イモ類、木の実などを口に入れ噛み、それを吐き出して貯めたものを放置して造る酒をいいます。 ただ、発生地は不明とのこと。
デンプンを持つ食物を口に入れ噛むことで、唾液中のアミラーゼ(消化酵素)がデンプンを糖化させます。 それを吐き出して溜めておくと、野生の酵母が糖を発酵してアルコールが生成されます。
「君の名は。」の音楽
本作の音楽は、ロックバンドのRADWIMPSが全音楽を担当しました。
新海 誠監督がRADWIMPSのファンだったことから、本作の音楽を依頼します。 それに、新たな挑戦を求めていたRADWIMPSがこれに応じました。
「曲を聴いたうえで作りたいシーンがいくつかある」という監督の要望を受け、製作初期から本作にたずさわり、20曲以上を作り上げました。 そして、以下の4曲が採用されたのです。
・「夢灯篭」
・「前前前世(movie ver.)」
・「スパークル(movie ver.)」
・「なんでもないや(movie ver.)」
出来上がった音楽は、ストーリーの展開に合わせた楽曲で、とにかく気分が盛り上がります。
それではここで、主題歌「前前前世(movie ver.)」の公式ミュージックビデオを聴いてください。
引用元:YouTube公式より / RADWIMPS – 前前前世(movie ver.)【Official Music Video】
物語の舞台
糸守町は岐阜県の架空の町で、飛騨地方がモデルとなっており、綾瀬町と羽衣市に隣接しています。
ここで架空の糸守町の情報を。
糸守駅は、2時間に一本の電車しかない。 コンビニ「MYショップ」は9時に閉まる。 「マザー」と「割愛」というスナックがある。 本屋と歯科医院がない。 クレーター湖(糸守湖)を望む展望台がある。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
三葉が通う糸守高校がある。 そして四葉が通う糸守小学校は、明治時代に建造された構造建築物で、1970年に県の重要文化財に指定されている。 宮水神社は、446年から存在する神社で、宮水家の実業でもある。
瀧たちが糸守について調べた図書館は、飛騨市古川町本町にある公立図書館がモデルとなりました。
瀧が通う東京都立神宮高等学校は架空の都立高校で、渋谷区神宮前に所在する青山高等学校の場所に位置しており、外観は東京都立新宿高等学校、内部は広島市中区にある基町高等学校がモデルとなっています。
瀧や奥寺ミキ先輩がアルバイトをしていたイタリアンレストラン「IL GIARDINO DELLE PAROLE」(イタリア語で「言の葉の庭」の意味)は、新宿にあるイタリア料理のレストラン「カフェ ラ・ボエム 新宿御苑」がモデルになっているようです。
このお店は、新宿御苑沿いの落ち着いたエリアにあり、雰囲気の良いお店でお手頃な金額で食べられるのが魅力。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
瀧と三葉が再会する本作のラストシーンに登場する神社は、東京都新宿区の須賀神社の参道にある石段です。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
その他にも、信濃町駅前の歩道橋、明治神宮外苑の聖徳記念絵画館、新宿警察署裏交差点、NTTドコモ代々木ビルなどなど。
物語のモデルとなった場所を訪れる、いわゆる「聖地巡礼」をするのも楽しいかもしれませんね。
以上が、物語に出てくる舞台の一部情報でした。
奥寺 ミキの裏設定
2021年に久しぶりに瀧と会った奥寺 ミキは、そのとき指輪をはめておりました。
その際、近々結婚することを話しております。
このことに関して新海監督は、「あくまで裏設定として、司は奥寺先輩と婚約したのだと思っている」と述べております。
ちなみに原作の小説で奥寺 ミキは、2021年時点でアパレルメーカーの千葉支店に勤務していることが記述されております。
感 想

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会
記憶がなくなっても相手のことを想い続ける心の奥にある「愛」が垣間見える素敵で奥深い作品です。
特に新海 誠氏の熱烈ファンではないけれど、話題になった作品だったので「恋愛青春もの」かなーと、内容もよく知らず軽ーい感じで観ることに。
観はじめて5分足らずで、この作品に引き込まれましたね。
圧倒的な映像の美しさと、「恋愛青春もの」というにはあまりにもスケールの大きな世界観に驚きました。
アニメというにはあまりにも懐の深い内容だし、逆にアニメでしか表現できない世界を体現しておりますが、不思議とアニメだということを忘れてしまうほど。
木々の匂いがただよってきそうな飛騨地方の自然や、熱い空気がまとわりつきそうな大都会の喧騒など細部に至る表現方法に、深い想像力とアニメーション技術の高さ、そして物事の本質を見極める才能が発揮されるなど、クリエイター新海 誠氏のなせる業でしょう。
主人公の三葉と瀧は、ちょっと出来すぎなくらいの優等生キャラクターですが、その2人以外のキャラクターたちも粒ぞろいの個性を発揮しておりました。
三葉の祖母である一葉の凛とした静のある落ち着いた雰囲気、四葉の子供なのに大人びている感じ、三葉の親友のテッシーとサヤちんの素朴さ、東京の瀧の友人たちの温かさなど、よく考えられた奥行きのある設定に感服いたします。
際立ったキャラクターではなく、みなさん善良で温和な感じ。 まるで柔軟剤でふわふわに仕上がったタオルに、顔をうずめたような感じです。
ただ、印象深い人物がひとりおりましたね。 瀧のバイト先の先輩、奥寺ミキです。 すごく美人だし仕事はできるし、物わかりも良いのに、あまり存在感を出さない不思議な女性。 こんな素敵な女性が身近に存在したらなーと、思います。
個人的には、本作の世界観で奥寺ミキのキャラクターだけが、不思議というか浮いているというか、なんか違和感を覚えましたけど。
心の「入れ替わり」を題材にした作品はいくつかありましたが、そこに時間のズレという要素を加えたのは斬新です。
人との繋がりやタイムパラドックスで惑星落下から人々を救うという壮大な話なんだけど、全体の雰囲気が重たくならない作風で、スキのない万人受けしやすい内容に仕上がっており、なるほど大ヒットするのも納得です。
先の読めない展開、違和感のない綺麗な伏線の回収、そして納得のいくエンディングで最高の余韻にひたれて、107分があっという間。
きっと、繰り返し観るたびに新しい発見があって、きっと観る者の心に深く記憶が刻まれるであろう作品だと思いました。

引用元:君の名は。 / © 2016「君の名は。」製作委員会