ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が
独断と偏見でオススメする今日の一本は、ワーナーブラザーズがおくる、感動のヒューマン映画「しあわせの隠れ場所」です。
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
作品紹介
実在するプロのフットボール選手マイケル・オアーが、全米アメリカンフットボールのNFLリーグ出場を果たすまでの物語を描いた、奇跡のヒューマンドラマ。
スラム街に生まれ、ホームレスのような生活を送っていた黒人青年マイケルは、ひょんなことから裕福な白人家族テューイ家に迎い入れられ、本当の家族のような愛に接しながら、その才能を開花させる姿を描く、実話を基にした心のこもったハートフルな映画です。
また、人種差別や格差を背景に、困難な状況に直面する家族の愛と勇気を描いた、感動的な作品でもあります。
2009年に製作された映画で、監督と脚本はジョン・リー・ハンコック、主演はサンドラ・ブロックが務めました。
そして、マイケル・ルイスの原作「ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇跡」は、マイケルの視点で描かれてますが、本作はリー・アンの視点で描かれております。
そのリー・アン役を演じたサンドラ・ブロックは、2010年の第82回アカデミー賞において主演女優賞にノミネートされ、主演女優賞を見事受賞。 また、第67回ゴールデングローブ賞の主演女優賞も受賞しました。
第82回アカデミー賞の作品賞にもノミネートされた本作は、北米3110館で公開され初登場2位、公開2週目で1億ドルを超え、3週目では週末成績1位となります。
さらに、公開7週目には2億ドルを超える大ヒットとなりました。
引用元:YouTube公式 / 「しあわせの隠れ場所」
見どころ&おすすめ
引用元:しあわせの隠れ場所 / © 2009 Alcon Film Fund, LCC
この映画は、実話を基に作られた作品だということが、最大のポイント。
ホームレス同然の生活を毎日送ってきた黒人青年マイケルが、里親になった家族の温かさにふれながら、アメリカンフットボールそして人として成長していく様を、さわやかな感動として観る側に届ける脚本はお見事です。
この映画は、人との絆(きずな)や家族の温かさを、大切にすることの重要性を再確認できる貴重な作品です。
また、アカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞を、はじめて受賞したサンドラ・ブロックの演技も注目すべきでしょう。
子供から家族、友人や恋人まで、大切な人と一緒に観るのがおすすめです。
人との繋(つな)がり、相手を思いやる気持ち、家族の温かさが必要な時にこそ、ぜひ!
感動もさることながら、幸せな気持ちになる、非常に満足度の高い作品。
観終えれば、きっと心がいっそうの幸せで満ちあふれていきますよ。
おすすめ度
★★★★☆ 4点
主要キャスト・スタッフ
リー・アン・テューイ (サンドラ・ブロック) |
マイケル・オアー (クイントン・アーロン) |
ショーン・テューイ (ティム・マッグロウ) |
スー夫人 (キャリー・ベイツ) |
コリンズ・テューイ (リリー・コリンズ) |
ショーン・ジュニア(S・J)・テューイ (ジェイ・ヘッド) |
バード・コットン (レイ・マッキノン) |
他 |
監督・脚本 | ジョン・リー・ハンコック |
原 作 | マイケル・ルイス |
製 作 | ブロデリック・ジョンソン |
アンドリュー・A・コソーヴ | |
ギル・ネッター | |
製作総指揮 | ティモシー・M・ボーン |
モリー・スミス | |
アーウィン・ストフ | |
他 |
2009年 公開 128分 アメリカ
2010年 公開 日 本
簡単な、あらすじ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
通称「ビッグ・マイク」と呼ばれている黒人青年マイケル・オアーは、幼いころにコカイン中毒の母親から引き離され、父親の顔も知らず、施設や友人知人の家を転々とするホームレス同然の生活を送っていた。
雨が降る感謝祭の前の夜、裕福な暮らしをし、2人の子供がいる白人のテューイ夫婦は、1人で雨の中を歩くマイケルに目がとまり、思わず声をかけ自宅に泊めてあげることにする。
夫人のリー・アン・テューイは、黒人で体格の大きなマイケルを最初は警戒するが、事情をきくと温厚で優しい性格と過酷な環境にいることが分かった。
そこで彼女は、マイケルのハイスクールでの連絡先となり、家に住まわせ部屋も与え、親の代わりとなって、彼を支援することを決める。
ハイスクールではテューイ家族の支えもあり、勉強にも精を出すマイケル。
また、入部したアメリカンフットボールでは、恵まれた体格と身体能力、そしてリー・アンの助言によってみるみると才能を開花させていく。
そして、悩みを抱えながらもマイケルは、一躍注目を集める選手へと成長していく。
ついには、大学強豪校のスカウトたちの目に留まるまでになるマイケルなのだが・・・
登場人物のキャラクター紹介
リー・アン・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
テューイ家の母親で、インテリアデザイナーの仕事をしている。
一家を引っ張るしっかり者だが、せっかちではっきりとした物言いをする男勝りな性格。 半面、人の苦境を放ってはおけない、人情味ある根の優しい女性。
マイケル・オアー
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
コカイン中毒の母親から幼いころに引き離され、里親を転々とし転校を繰り返す境遇にいたが、寡黙で争いを好まない優しい性格。 恵まれたその体格から「ビッグ・マイク」と呼ばれているが、大きな体を軽やかに動かせる身体能力をもっている。
ショーン・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
テューイ家の父親で、85店舗ものファーストフード店を経営するオーナー。
せっかちなリー・アンとは対照的で、いつも彼女を支え包み込むような優しさとおおらかな性格をもっている。 リー・アンのよき理解者。
コリンズ・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
テューイ家の長女。
年頃の娘だが、すんなりマイケルを温かく迎え入れる、優しい女の子。
ショーン・ジュニア・テューイ
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
通称S・Jで、テューイ家の長男。
マイケルのことを、兄貴のようにしたい、時には相棒として、時には彼のコーチとして、またマイケルにオファーをしてくる大学関係者との交渉役など、2人は大変仲良し。
スー夫人
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
マイケルの家庭教師。
毎日マイケルの勉強をみているうちに、家族も同然の関係となり、彼の大学入学後は大学近くに引っ越ししてまで家庭教師を続けた。
バート・コットン
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
ウィンゲート校でアメリカンフットボールのコーチをしている。
マイケルの身体能力の高さに気がつき、バートの後押しでウィンゲート校への転入が決まる。
名 言 集
「笑顔だよ、友達になりたかったら」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
無愛想なマイケルが、校庭で遊ぶ白人の女の子たちに挨拶するも、彼女らはその場から逃げてしまう。
そのことに引け目を感じているマイケルに、はじめてS・Jがいう言葉。
いきなり知らない人間、しかも白人の少年が、黒人の自分になんの抵抗感ももたずに話しかけてくることに戸惑うマイケル。
身分、環境、肌の色の違いなんて気にしない、関係ない。 先ずは笑顔で接すれば相手も心を開いてくれることを、教えてくれました。
「いいえ、その逆よ。 彼が私の人生を変えているの」
引用元:しあわせの隠れ場所 / © 2009 Alcon Film Fund, LCC
リー・アンが、白人のセレブな友人たちとランチを楽しんでいるとき、黒人マイケルのことが話題になり、友人が「黒人の男の子を家に迎え入れるなんて中々できないことよ、あなたは彼の人生を変えたわ」と言う。
そこで、静かに彼女が言う言葉です。
マイケルの人生が劇的に変わったのは事実だが、リー・アン家もまたマイケルと出会い、家族や人生、周りの事柄について色々と考える良い機会になったのです。
人との出会いは、今まで自分には見えなかったことに気づかせてくれる、何かを与えてくれる、大事なきっかけになることを教えてくれます。
「何で? 家でも一緒に勉強するでしょ」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
スクールの図書館にやってきたマイケルだが、白人生徒の目が気になり、気まずそうに誰もいない席で勉強をはじめます。 その近くで友人たちと勉強をしていたコリンズが、そこの席を離れマイケルと同じ机で勉強を始めます。
「なぜ、自分なんかと?」と疑問におもうマイケルに、コリンズが言う言葉。
自分にとって大切な人のことは、周りからどのように思われても、一緒にいたいと思うことは当たり前のことだと、気づかされます。
「チームは家族よ。 敵のチームから仲間を守りなさい」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
アメリカンフットボールのルールを良く理解できず、とにかく相手を怪我させないようにプレイをするマイケル。
それを見かねたリー・アンが、マイケルに言う言葉です。
「チームは家族と同じなの、あなたは敵のチームから仲間を守らなきゃ」 「クォーターバックを私だと思って守りなさい。 テールバックはS・Jだと思って敵を近づけさせないようにするの。 コリンズもショーンもチームの中にいるわ」とアドバイスをする。
暴力を嫌う性格と保護本能にひいでたことを、ちゃんと理解している母親ならではのアドバイス。
スポーツをはじめ団体行動というのは、仲間は自分の家族だという考えで貢献するのだと、改めて納得しました。
「家に帰そうと思って」
試合中、相手チームの65番の選手から、嫌がらせ行為を執拗に受けるマイケル。
それを審判に猛抗議するバートコーチとの間に、絆が生まれます。
そのおかげで覚醒したマイケルは、相手選手を次々と止め、65番選手にいたっては、タックルしたままコートの外まで押し出し、審判に反則を取られてしまいました。
そんなことを普段はしないマイケルの行動を不思議がっている、バートコーチに言うマイケルのユーモアたっぷりな言葉。
「すみません、バス停まで連れて行けませんでした。 (65番選手を)家まで帰そうと思って」と真顔でアメリカンジョークを言うマイケル。
思わず笑ってしまう、スカッとする場面です。
「口を閉ざし、問うことをせず、従いて命を散らす」
学年末の小論文を書くことになったマイケル。 題材に悩んでいたマイケルにショーンがすすめたのは「軽騎兵団の突撃」という有名な詩の言葉でした。
600騎もの兵たちが、勝機もなく司令官のミスだと分かっていても、「死の谷」へと向かう内容の詩です。
司令官の言うことに、口ごたえも疑うことも許されずに、死を覚悟して前に進む騎兵隊を称賛したこの詩が、アメリカンフットボールの道を進むマイケルに、ぴったりだとショーンは考えたのでしょう。
この言葉は、「誰かの命令だからではなく、自分が信じたことに対して勇気を持って突き進む」ことを、表しているのでしょう。
「子供のために正しいことをしているのか」ということを自問自答しながら、子供と接しなければいけないと、気づかされます。
「あなた自身の人生だもの。 あなたが決めることよ」
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
大学の進路で疑心暗鬼となったマイケルが家を飛び出した翌日、リー・アンと真剣に話し合います。
自分と夫のショーンが卒業した大学だから、大学に寄付をしているから、勝手に自分の母校に進学させようとしたことを素直に話し、マイケルに謝罪をします。
その時に、マイケルへの想いを込めて口にした言葉です。
そしてマイケルは「自分の家族と同じ、ミシシッピー大学へ進学する」と決心します。
「相手が何をしたいか」の気持ちを尊重し、それを側で支えてあげることこそが相手はもちろん、自分もしあわせになるために必要なことなのだと思いました。
「つらいことがあったら目をつぶりなさい」
マイケルの生みの親、デニース・オアーがマイケルに小さい時から聞かせていた言葉です。
もちろん、現実を直視する勇気は大切ですが、ときには勇気をもって目を閉じて心の平静を保つことも大事なことだと、教えてくれました。
さらに、この映画を考察!
原作のタイトル「The Blind Side」とは
アメリカンフットボールの用語で、クォーターバックの利き腕と反対側の死角のことを表します。 また盲点とも表します。
その死角を守る守護神的な役割が、マイケルのポジションです。
「幸せの隠れる場所」とは
恵まれない一人の黒人青年を、裕福な白人家族が援助をし、その青年が才能を開花させ恩返しをする物語なら、たぶん良くある話なのですが、実はもっと奥が深いのです。
まずは、これが実話であること。
そして肝心なのは、ほどこしを受ける者と与える者との関係ではなく、お互いが与え合う関係、お互いがお互いを必要とする関係なのです。
恵まれたテューイ家には思いもつかなかった、当たり前の豊かさへの感謝を、マイケルから改めて教えてもらいました。
テューイ家族にとってマイケルは、日常に隠れている幸せを、まるで花の芽がパッと開くように教えてくれる存在なのです。
「The Blind Side」は「幸せの隠れている場所」を表し、だから映画のタイトル「しあわせの隠れ場所」となったのではないでしょうか。
実話との相違点
原作は、マイケル・オアーの波乱万丈の半生とアメリカンフットボールの世界に焦点を当てているのに対して、本作はテューイ家の主婦リー・アンを主人公したため、少なからず脚色が加えられている。
実はマイケルは、リー・アンと出会う前から、通っていたハイスクールのアメフト部のオフェンスラインマンとして活躍していた。
本作でのコリンズは、口数が少なく静かにマイケルを支えている印象があります。
しかし実際は、物語の役どころ以上にマイケルの支援を行なっていました。
また、コリンズの友人がマイケルを無視している設定ですが、実際には親しくしていたそうです。
本作のバートコーチは、間抜けなお人好しにされていますが、実際は優秀なハイスクールのコーチとして活躍しています。
マイケルはハイスクールの成績を通信教育で補強したことを本作では、はぶかれております。
サンドラ・ブロックと実際のテューイ家
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
この映画をきっかけに、サンドラ・ブロックとテューイ家は親交を深め良き友人となっています。
実際に、マイケルの試合を一家と一緒に観戦するサンドラ・ブロックが度々目撃されているそうです。
感 想
引用元:公式サイト / しあわせの隠れ場所
これぞ、無償の愛!
実際、このように素敵な心を持つ家族が居らっしゃるのですね。
マイケル・オアー役のクイントン・アーロンは、この映画でメジャーデビューしたらしく、言葉数の少ない役どころで、彼の哀しそうな表情が印象的でした。 大きな図体のくせに、たまに見せる笑顔がかわいく、迷える子羊さんのようで、この役にピッタリ。
あえて、サンドラ姉さん、主演女優賞受賞おめでとう!記憶が正しければ、初の主演女優賞ですね。 キリッとした役どころのリー・アンとサンドラ姉さんのキャラクターとが見事にマッチングした結果でしょう。
余談ですが、サンドラ姉さんをはじめて知ったのは、キアヌ・リーブス主演の映画「スピード」で、その頃から気になっていた女優さんです。
また他の俳優陣も、それぞれの役を非常に自然に演じ、思わず感情移入してしまうほどの演技を見せてくれます。
この作品は、お涙頂戴的な感動巨編ではなく、「他人の優しさで、自分の人生を大きく変えることが出来る」ことを、観ているこちらに伝えているような、奥の深い内容だと思いました。
また、心に残る名言が多くあり、そのたびに胸がジーンとしみます。
その言葉で、こちらに勇気や希望を与えてくれる、そんな感覚を憶えたのが印象的です。
観た人はきっと、誰かにやさしくしたくなる。 真実にもとづいた珠玉の作品でした。