ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が
独断と偏見でオススメする今日の一本は、イギリスを舞台にした恋愛映画「ノッティングヒルの恋人」です。
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
作品紹介
1999年にイギリスで製作された、今なお人気の高いロマンティック・ラブストーリーです。
ロンドン西部の小さな町ノッティングヒルで書店を経営するバツイチで平凡な男ウィリアム。 その彼の店に、世界で一番有名で美しいといわれるハリウッドのスター女優アナが訪れる。 そんな奇跡の出逢いから始まった、2人の恋の行方を描きます。
「プリティ・ウーマン」でキュートな演技を披露したジュリア・ロバーツ、そしてロマンティク・コメディ界の帝王とも呼ばれるヒュー・グラントのふたりが主演を務めたことでも話題となった作品。
素晴らしい本作を手がけたのは、脚本にラブ・コメの名手リチャード・カーティス、そしてメガホンをとったのは、イギリスの映画監督ロジャー・ミッシェルでした。
その結果、第57回ゴールデングローブ賞で最優秀作品賞、最優秀男優賞、最優秀女優賞にそれぞれノミネートされる、90年代を代表するラブ・コメの名作となりました。
アメリカの映画評論サイト「Rotten Tomatoes」で、批評家から83%もの高評価を獲得するほどの評価の高い作品です。
また本作の主題歌は、エルヴィス・コステロがカバーした「She」で、きっと一度は耳にしたことがあるであろう楽曲も有名です。
引用元:YouTube公式より / Notting Hill
見どころ&おすすめ
90年代から00年代にかけてハリウッドで貫禄を見せつけた、ハリウッド界の女王ジュリア・ロバーツとロマンス・コメディでは代表的存在のヒュー・グラント。 そんな2人の演技の掛け合いが、一番の見どころです。
舞台となったノッティング・ヒルで撮影が行われ、ウェストボーン・グローヴでは高級志向で洗練された店が並び、ポートベロー・ロードでのアンティークフリーマーケットなどのおしゃれな街並みを見学できるところも注目です。
また、季節のうつり変わりなど、時間の経過の描き方も完璧で素晴らしい。
そして、脇を固める個性豊かなキャスト陣や、ハリウッドスターとしてではなく等身大の女性として悩んだり苦しんだりする主人公アナの魅力的なキャラクター、物語の進行度合によって揺れ動くウィリアムの心境など、観るものに共感を与える確かな演技力も見どころポイントです。
美人で有名な女優とごく普通の男性との恋愛、男性ならば誰でも憧れ夢見るシチュエーションが描かれ、女性目線でも胸キュンできる演出など上げればキリがないほどに魅了が詰まった、ときめくような恋愛物語をユーモアを交えながらシンプルなストーリーでまとめ上げた脚本は非常に魅力的。
ロマンティック・コメディ好きにはたまらない映画です。
本作は、カップルで鑑賞するのが勿論おすすめですが、男性、女性それぞれ単独で鑑賞しても十分見ごたえのある胸キュン作品なので、おすすめします。
気楽に、楽しく、そう快になれる作品です。
さあ、映画史に残る恋愛映画の世界を堪能してください。
おすすめ度
★★★★☆ 4点
主要キャスト・スタッフ
アナ・スコット (ジュリア・ロバーツ) |
ウィリアム・タッカー (ヒュー・グラント) |
スパイク (リス・エヴァンス) |
ベラ (ジーナ・マッキー) |
マックス (ティム・マッキナリー) |
ハニー (エマ・チャンバース) |
バーニー (ヒュー・ボネヴィル) |
マーティン (ジェームズ・ドレイフ |
他 |
監 督 | ロジャー・ミッシェル |
脚 本 | ディーン・デヴリン |
製 作 | リチャード・カーティス |
製作総指揮 | リチャード・カーティス |
ティム・ビーヴァン | |
エリック・フェルナー | |
他 |
1999年 公開 123分 アメリカ・イギリス・日 本
登場人物の紹介
アナ・スコット
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ハリウッドのスター女優で、映画の取材のためにロンドンにきた。
愛想がよく、恋に積極的な女性である。
トップスターであるが故、10年以上ダイエットを続けスタイルをキープしたり、2度にわたる整形をしてパパラッチに追われたりと、多くの悩みを抱えている。
ウィリアム・タッカー
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
赤字続きの旅行書専門店を営むバツイチの男性で、パッとしない人生を送っている。
性格は、とても穏やかで誠実。 強盗犯にも穏便(おんびん)に対応するほどの大人しい人物。
スパイク
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ウィリアムの同居人である。
おっちょこちょいで少々変わったキャラクターであるが、ウィリアムを最後まで応援する頼もしい友人。
ベラ
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ウィリアムの元恋人で友人でもある。
階段で転倒し車いす生活となってしまうが、芯の強い女性である。
マックス
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ベラの夫で、ウィリアムとは旧知の仲。
ホームパーティーで料理を振舞ったり、傷ついたウィリアムに女性を紹介するなど、マメな性格。
ハニー
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ウィリアムの妹で、レコード店で働いている。
バーニー
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ウィリアムの友人で、株のブローカー。
マーティン
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ウィリアムの書店の従業員。
簡単な、あらすじ
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
バツイチで平凡な男ウィリアム・タッカーは、ロンドン西部のノッティング・ヒルで旅行書の専門店を営んでいる。
大して儲からないそんな店に、ある日どこかで見たことがある女性が訪れる。
それはハリウッドのスター女優アナ・スコットだった。
アナは、本を購入し店を後にする。
そのあと飲み物を買いに出たウィリアムは、街角でアナとぶつかってしまい、彼女の服がオレンジジュースで汚れてしまう。
慌ててウィリアムは、近くの自分のアパートで着替えてもらうことに。
不器用ながらも誠実さをウィリアムに感じるアナ。
大女優が一般人など相手にするわけもないと思っていた矢先、なんとアナの方から会いたいというメッセージがウィリアムに届く。
2人は再会を果たし、ウィリアムの提案で彼の妹ハニーの誕生日会に彼女を誘う。
アナは、ごく普通の家族と友人たちのパーティーに参加し、これまでの女優人生では得られなかった安らぎを経験する。 そして、しだいにウィリアムに惹(ひ)かれていくアナ。
ある日デートのため、アナのホテルに招かれたウィリアムは、そこでアナの元恋人であるハリウッドスターと鉢合わせしてしまう。 さらにホテルの従業員と間違われ、ウィリアムは住む世界の違いを感じてしまった。
マスコミや周囲の目のせいなどで、なかなか距離が縮まらないどころか、アナのスキャンダルでその距離は離れていってしまう。
果たして、大女優と平凡な男性との身分の違う恋は実るのだろうか・・・?
「ノッティングヒルの恋人」の魅力を考察します
いつまでも愛され続ける本作の魅力を探ってみましょう。
エルヴィス・コステロが歌う「She」を紹介
引用元:YouTube公式より / SHE Notting Hill
本作の代名詞とも言える楽曲「She」をエルヴィス・コステロが情熱的に歌い上げております。
ご存知の方も多いと思いますが、これはカバー曲ですね。
オリジナルは、シャルル・アズナヴールによって1974年に作曲、歌唱された楽曲でした。 イギリスの連続テレビドラマ「女の七つの顔」の主題歌としてヒットし、イギリスのチャートで1位を記録しました。
ちなみに、アズナヴール版の邦題名は「忘れじのおもかげ」です。
アナがウィリアムに恋をした理由
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
アナは仕事でイギリスを訪れますが、大女優であるがための苦悩に心がつぶされそうになっていたのだと思います。 きっとプライベートもない窮屈な人生だったのでしょう。 心に安らぎを求めノッティングヒルの街を歩き、ふらっと立ち寄った旅行書の専門店。
その店にいた一人の男性が、万引きをしてしまいました。
そのとき、店主であるウィリアムのとった対応や損得抜きで本をすすめる態度に、彼女は最初の好感を持ったのです。
その後、奇跡のようなジュースこぼし事件。
そして、ふつうは行かないであろう男性の家へ。 しかも大女優です。
きっと彼女は、お店での一件を含め、恋の予感を感じていたのでしょう。
私を有名人扱いせず自然体で接してくれる、そして素直で飾らない性格のウィリアムに惹かれてしまったのです。 今まで彼女の周りには居なかったタイプの男性。
服が乾く間に、彼に一目惚れしてしまったのです。
その後、いきなりウィリアムにキス! 大女優が!
積極的なアナと、戸惑うウィリアムの対比が印象的です。
この対照的な雰囲気は、このキスシーンを伏線として、このあとに続きます。
シャガールの「結婚」の意味は
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
物語の中に、シャガールの絵が登場します。
「結婚(花嫁)」は油彩画で、ロシア出身のフランス画家マルク・シャガールにより1950年に制作されました。 フランスでは、「花嫁」と呼ばれるそうです。
シャガールは、結婚をテーマにした作品を多く描いています。
この作品は、印象的なシャガールブルーを背景に、花束を持ち花嫁衣裳を身にまとったひとりの女性を中心に描かれてます。
はじめて訪れたウィリアムの部屋でアナは、シャガールのその絵(複製画)が飾られているのを見つけます。
そして二度目のロンドン訪問のとき、ウィリアムにフラれたアナが紙に包まれた本物のシャガールの絵を店に置いていくとき。
さらに、2人の結婚式のウエディングケーキにも、この絵に登場するチェロを弾いているヤギが描かれております。
この絵を登場させたのは、2人が同じ価値観を持っていることや、将来の結婚を連想させるアイテムとして登場させたのだと思います。
実はキーパーソンの同居人
ウィリアムの同居人、スパイク。
お尻を半分出したり、マヨネーズをヨーグルトだと勘違いして食べてしまったりと、ちょっと変人っぽい人物。
はたまた、アナからの電話をウィリアムに伝えるのを忘れちゃったり、アナが家にいることをパブでうっかり話しちゃったりと、少々お間抜けなことをしてしまいます。
しかし、ウィリアムの恋を最後まで応援する最高に頼もしき友人なのです。
ウィリアムがアナをふったときは、珍しく「君は大バカ者だ」と怒りました。 また、ウィリアムがアナに会いに行けるよう、自らの体を張って車を止めに行く行動をします。 スパイクは、相手の気持ちを汲み取ることの上手い人物だったのです。
彼は、物語の重要なポイントで関わってくる、なかなか味のあるキャラクター。
彼のキャラクターが居ることで、物語にいい意味でスパイク、いやスパイスを加えた美味しい作品に仕上げられております。
ウィリアムの良き友人たち
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
ウィリアムの周りには、スパイク以外にも良い友人たちがいます。
きっとウィリアムの人柄に、良き友人たちが集まってくるのでしょう。
ベラとマックス夫婦は、ウィリアムが傷ついているときは、良き話し相手となってくれます。 アナのことを忘れさせるため、女性を紹介したり、夕食に招待したりと、真剣に世話を焼いてくれます。
そういえば、夕食時にデザートが余ったら「一番みじめな奴に食べる権利がある」と言って、自分の悲しい体験をみんなで聞かせ合い、悲しみを共有してジョークで笑い飛ばしてくれる。 なんかグループカウンセリングのようです。
こんな仲間が寄り添いあえる友人関係が、うらやましくなるシーンでした。
本作に隠されたヒミツ
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
さえない一般男性が、知り合う機会など全くないはずの大女優との恋愛を描いたものです。 ハリウッド映画における、逆シンデレラストーリー。
本作主演のジュリア・ロバーツの出世作といえば「プリティ・ウーマン」です。
この作品は、正当な現代版シンデレラストーリーでした。 が、今回はジュリア・ロバーツが逆の立場で登場するというのは、数奇なめぐり合わせだと感じました。
ひょっとすると、制作者側の意図するところだったのかもしれません。
次に、ウィリアムが傷心しているときに鑑賞していた、SF映画「HELIX」にはアナが出演していました。
宇宙船の通路内のようなところを、アナが宇宙服を着てこちらに歩いてくるシーン。 放射状に広がるカットと重力を感じさせない描写が印象的です。
このシーンには、あの作品へのオマージュを感じました。
それは、1968年に公開された、スタンリー・キューブリック製作・監督のSF映画の代名詞的存在である「2001年宇宙の旅」です。
さらに、ウィリアムがアナを誘って妹の誕生会に行ったときのことです。
バーニーが「最近出た映画のギャラは幾らか」と聞いたとき、アナが1500万ドルと答えました。
実はこの金額は、この映画に出演したジュリア・ロバーツ自身のギャラと同額と言われております。
これが事実かどうかは本人のみぞ知る・・・、といったところでしょうか。
最後に、アナがウィリアムの書店で告白するシーンです。
ここ一番のところで電話が入り、緊張の告白はいったん中断してしまいます。
その場をつないだのが、書店の従業員マーティンでした。
そんな彼が発した言葉が「あの作品を観ましたよ」と。
その作品とは「ゴースト/ニューヨークの幻」でした。 しかし、ジュリア・ロバーツはその作品には出演していません。 デミ・ムーアが出演しておりました。
実はこの作品、公開年がジュリア・ロバーツの出世作「プリティ・ウーマン」と同じで、アカデミー賞やゴールデングローブ賞を争ったライバル作品だったのです。
これは、面白い皮肉を込めたシーンでしたね。 ただ、彼女から「ゴースト/ニューヨークの幻」について語られたのは、興味深かったので注目です。
いかがでしょうか。
「ノッティングヒルの恋人」の魅力の一部を深掘りしてみました。
改めて本作を見直してみれば、新たな発見を見つけられるかもしれませんよ。
感 想
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.
私が恋愛映画を紹介するなら真っ先に思い浮かぶ作品は、この「ノッティングヒルの恋人」と「プリティ・ウーマン」で、こちらの作品は以前に紹介しましたね。 偶然にもどちらの作品ともに、ジュリア・ロバーツが出演し、内容もシンデレラストーリーものです。
そして、この「ノッティングヒルの恋人」は名作「ローマの休日」とも共通点があります。 どちらも格差を乗り越えての恋愛で、逆シンデレラストーリーもの。 ただ、大きく異なるのは、本作ではラストで2人が結ばれるところが相違点です。
個人的に、ハッピーエンドをむかえる作品が大好き。
色々な困難を抱えながらも、活動的に愛を育もうとする女優アナ。
一方のウィリアムは、バツイチ経験者だからなのか恋愛に臆病でなかなか積極的にいけず、ちょっと情けないタイプだけど誠実で心優しい一般男性。
奇跡のように出会い、大きく身分の違う2人の恋愛が成就(じょうじゅ)する過程を、私はハラハラしながら見守っておりました。 とくにアナの思いに対するウィリアムの対応には、イライラさせられましたね。
同居人のスパイクじゃないけど、「そうじゃないだろう!」と思わず口にしてしまうくらい、熱が入ります。
でも、最後の記者会見での2人の会話は、とてもお洒落で素敵でした。 それにウィットにも富んでおり、よくやった、ウィリアム!
正直、さんざんイライラさせられましたが、彼の想定外のプロポーズでやっと留飲が下がる思いでした。
この場面での会話は、あえてセリフの量を抑え、セリフの質とさり気ない演技で魅(み)せる演出は鳥肌もの。
また、大女優であるアナが、身分が違うような態度を一切見せないところも好印象です。 誕生会での場面で、ホロホロ鳥の料理を勧められましたがベジタリアンの彼女は、料理を作ったマックスに笑顔で美味しいと答える姿はとてもキュートで、常識のある人なんだなと感心しました。
ウィリアムをなんとかアナのところへ送ろうと、みんなの友情が爆発する場面は、笑いと感動が同居する状態となりました。 友情って、熱くて素晴らしいな、と感じられる場面です。 さらに、記者会見でのクライマックスシーンへと流れていき、観ているこちら側の気分は最高潮へと上りつめます。
そして物語のラストでは、木漏れ日の中のベンチで、くつろぐ2人のこれからの幸せな人生を想像させる素敵なシーンを観て、大いなる満足感に浸りましたよ。
主役2人のぴったりハマった配役と、周りを固める個性的なキャラクターたち、季節を感じる街の風景、そして音楽の効果が、シンプルだけどよく考えられたストーリーに幾重にも重なった相乗効果によって、普遍的で王道のラブストーリーが完成したと思います。
やっぱり、ハッピーエンドでむかえるシンデレラストーリーは、観る側に最高の満足感を与えてくれますね。
引用元:ノッティングヒルの恋人 / © 1999 Universal Studios. All Rights Reserved.