ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が
独断と偏見でオススメする今日の一本は、SF映画の「インターステラー」です。
引用元:公式サイト / インターステラー
作品紹介
地球はその寿命を迎えようとしていた。
人類の移り住める惑星を探すため、別の銀河系へ有人惑星間航行(インターステラー)をする宇宙飛行士たちを描いた作品です。
「ダークナイト」シリーズや「インセプション」など斬新な作品を得意とする、鬼才クリストファー・ノーラン監督が仕掛けた、相対性理論、量子力学や特異点などの科学的考証をしっかり用いたハードな演出に、人生という限られた時間や愛、勇気など人間の真理を探求したソフトな面を織り交ぜた、美しく、壮大な物語です。
ちなみに、製作総指揮に加わっているキップ・ソーンは、2017年に「LIGO検出器への決定的な貢献と重力波の観測」の功績により、ノーベル物理学賞を受賞した理論物理学者で、本作の科学コンサルタントを手掛けております。
映画批評家からも高い評価を得て、アメリカ映画協会では2014年のベスト映画トップ10に選出されました。
ニューヨーク・ポスト紙の映画評論家ルー・ルメニックをして「今世紀もっとも心躍る映画体験のひとつ」と言わしめた超大作。
日本でも、第38回日本アカデミー賞(外国映画賞)で優秀賞を受賞するなど、数々の賞を受賞しました。
引用元:You Tube公式 / 「インターステラー」
見どころ&おすすめ
本作はSF映画の中でも、宇宙船や宇宙人が全面的に登場するエンターテイメント性を強調した作品ではなく、人類が抱える普遍的な問題について考えさせられる、結構シリアスな内容は注目ポイント。
科学的な考証をしっかり土台にしながら、時間や次元をも超越する「愛」を前面に出したヒューマン性のあるストーリーは、見ごたえがあります。
本作が素晴らしいのは、もちろんCG特撮も必見ですが、俳優陣の迫真の演技にもありました。
アカデミー賞受賞のマシュー・マコノヒーやアン・ハサウェイらの安定の演技に加え、プロジェクトリーダー役のマイケル・ケインや成年となったマーフ役のジェシカ・チャステインなど科学者たちの苦悩や葛藤している演技は、観ているこちらの胸を締め付けてきます。
さらに物語の悲壮感や絶望感に、切ない音楽がバックから加わり、いっそうのシリアス感を訴えかけてくるのも、この作品の特徴。
しかしこの作品は、人類の愛を中心に、親子の愛、師弟の愛、男女の愛、そして勇気や信頼が、観ているこちら側に大きな感動と満足感を与えてくれる秀作でした。
まず、理工系の方、科学が大好きな方は間違いなく、おすすめですね。
宇宙?物理?そんなの分からない、興味がない方々にも、丁寧に作りこまれたストーリーから、この作品の世界観や素晴らしさが十分に伝わると思います。
おすすめ度
★★★★☆ 4点
主要キャスト・スタッフ
ジョセフ・クーパー (マシュー・マコノヒー) |
アメリア・ブランド (アン・ハサウェイ) |
マーフィー(マーフ)・クーパー (ジェシカ・チャステイン) |
マーフ 幼少期 (マッケンジー・フォイ) |
マーフ 老年期 (エレン・バーステイン) |
ニコライ・ロミリー (デヴィッド・ジャーシー) |
ヒュー・マン (マッド・デイモン) |
ドイル (ウェス・ベントリー) |
ジョン・ブランド (マイケル・ケイン) |
トム・クーパー (ケイシー・アフレック)) |
トム 幼少期 (ティモシー・シャラメ) |
ドナルド・クーパー (ジョン・リスゴー) |
他 |
監 督 | クリストファー・ノーラン |
脚 本 | クリストファー・ノーラン |
ジョナサン・ノーラン | |
製 作 | エマ・トーマス |
クリストファー・ノーラン | |
リンダ・オブスト | |
製作総指揮 | ジェイク・マイヤーズ |
ジョーダン・ゴールドバーグ | |
キップ・ソーン | |
他 |
2014年 公開 169分 アメリカ・日 本
簡単な、あらすじ
引用元:インターステラー / © 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
地球規模の異常気象によって巨大な砂嵐が日常的に発生する近未来。
地球上の農作物が枯れ、大規模な食糧危機がおこり人類は滅亡の危機にひんしていた。
トウモロコシ農場を営んでいる元宇宙飛行士のクーパーは、自宅で起こる超常現象を最初は幽霊の仕業だと思っていたが、何者かからのメッセージだと気がつく。
そしてその情報をたどっていくと、そこはとうの昔になくなったNASAの基地で、そこでは秘密裏に活動を続けていた。
そこにはクーパーのかつての仕事仲間であるブランド教授がおり、人類を新しい惑星に移住させる、ラザロ計画を遂行していた。
かくしてクーパーは、娘のマーフィーの反対を押し切り、「必ず戻ってくる」と言い残し、ワームホールを使って別の銀河系を目指す有人惑星間航行(インターステラー)を行うチームに参加する。
ラザロ計画を行うチームは、ブランド教授の娘アメリア、物理学者のロミリー、地質学者のドイルら3名の博士と人工知能ロボットTARS、そしてパイロットのクーパーだ。
彼らは、人類を救うため宇宙船エンデュランスに乗り、地球をあとにする。
そこから土星近くのワームホールまで、2年の時間を必要とした。
2年後、無事にワームホールを通り抜けたエンデュランスは、人類が生存できそうな3つの惑星を目指すのだった。
果たしてクーパーたちは、無事に人類が住める惑星を見つけることができるのか?
そして、人類は生き延びることができるのか?
引用元:インターステラー / © 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
映画に出てくる専門用語について
この映画の中で出てくる科学について、自分を含め一般のみなさまには少々難解でした。 そこでいくつか、私レベルで独断と偏見的に少し解釈してみました。
ツッコミは厳禁ですよ。
バイナリって、何?
引用元:インターステラー / © 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
マーフの部屋での怪奇現象を見て、砂の太い筋を1、細い筋を0として、バイナリだと話しています。
バイナリとは、2進法などの2つの要素で構成されているものを、バイナリと呼ばれています。
例えば、コンピューターはすべての情報を2進数の「0」と「1」で表現しています。
四次元とは?
よく耳にするのは、二次元や三次元ですね。
まず、一次元は線、二次元は面(平面)、三次元は立体(例えば、人間が住む空間)。
では、四次元とは? 超立方体だそうです。
物語の中で出てくる、空間「テセラクト」がこれにあたります。
立体に空間という概念を加わえたもので、これには物理的な空間に限らないそうで、時間軸も対象だそうですが・・・なんのこっちゃ⁉
イメージとして、現実にドラえもんが居るとしたら、ドラえもんのポケットのことでしょうか。 人間は、紙を折って畳んだり丸めて小さくしたりできます。 ドラえもんのポケットは空間を折ったり縮めたり、時間の流れも自在に変えられる、そんな感じでしょうかね。
ブラックホール、ホワイトホール、そしてワームホール
普通、地球などの天体は、重力と圧力がバランスしているため、球体として宇宙空間に存在しています。
でもバランスを崩して重力が強すぎたら・・・
どんどん球体は中心に向かって縮んでいき、高密度で大質量でありながら、巨大な重力を保ったまま、光りすら脱出不可能な現象である「ブラックホール」となります。
もし吸い込まれたら、上の相対性理論の6番から、時間がどんどん遅れていき、あくまで理論上ですが、最終的には時間が止まってしまうそうです。
強力な重力で情報や物質など何でも無限に飲み込んでしまう天体、ブラックホール。
でも理論上では、この現象は矛盾しているそうです。 なぜかは、長くなるので割愛しましょう。
そこで、矛盾を解消するために考え出されたのが「ホワイトホール」というものです。 ホワイトホールは、情報や物質を放出する天体と定義されました。
ホワイトホールには、2つの解釈があるそうです。
ひとつは、年老いたブラックホールが今まで飲み込んだ情報や物質を、吐き出しているもの。
もうひとつが、ホワイトホールはブラックホールの出口で、2つは直接つながっているというものです。
本作で出てくる「ワームホール」とは、このブラックホールとホワイトホールを単純に結んだ通過可能な通路(仮想トンネル)みたいなものです。
これって、みんなが知っている「ワープ」するってことですね!
以上、幾つかの講釈(こうしゃく)をタレてみましたが、分かりましたか?
私的には、多くの科学者さまによって、これらの現象が少しでも早く解明されることを切に願うばかりです。 そして、インターステラー(有人惑星間航行)が実現することを夢見ております。
「インターステラー」を深掘りします
ラザロ計画とは
過去10年間で、人類移住の可能性のある12の惑星に探索者を送り、3つの惑星で入植が期待できる可能性のあることが分かりました。
そこで、
プランA
巨大なスペースコロニーを建設して地球外に脱出し、他の惑星に移住する計画です。
しかし、巨大な建造物を打ち上げるには、重力をコントロールするための方法を見つける必要があります。 しかし、その方法を解く方程式は、いまだ未完成でした。
ブランB
プランAのバックアップとして、もし方程式が解けなければの計画でした。
人類の凍結受精卵を新天地の惑星で孵化(ふか)させ、人間の種を保存する計画。
あくまで種の保存のための計画であり、残念ながら地球に残された人類は助からないのです。
「ラザロ計画」のラザロの意味とは
ラザロとはキリストによって死から蘇生された人物の名前です。
なぜ、この名前をつけたのでしょうか。
12の惑星に12名の探索者を送り、3名の生存?と移住の可能性が分かりました。
ラザロ計画は死と隣り合わせの計画です。
絶望的な計画だけど、必ず成功(復活)する強い意志を表しているのだと思いました。
また、本作を振り返ると、一度死んだプランAが復活するのは、まさにラザロではないでしょうか。
怪奇現象?超常現象?は伏線だった
引用元:インターステラー / © 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
物語序盤の怪奇現象?超常現象?は、クーパーが時空を超えた空間「テセラクト」から、娘のマーフの部屋を覗いて彼女に気づいてもらうための数々のメッセージで、これらは伏線でした。
クーパーが旅立つ前に、マーフに渡した腕時計も伏線でした。
人工知能ロボットTARSに収集させたブラックホール内の特異点のデーターを、アナログ時計の秒針を使ってモールス信号として送っていました。
また、クーパーは「必ず戻ってくる」とマーフに言い残して、宇宙へ旅立ちます。
その後、スペースコロニーの病室で、年老いた娘マーフと再会を果たし、みごと伏線を回収しております。
引用元:インターステラー / © 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
映画「インターステラー」とキリストとの関係
主人公クーパーのフルネームは、ジョセフ・クーパーです。 これはイエス・キリストの父親ヨセフの英語読みと同じです。 人類救済というミッションに身を投じたジョセフは、まさに神のような存在であり、父親のような存在でもありました。
先に述べましたが、ラザロ計画のラザロとは、聖ラザロの蘇生(ヨハネ福音書11:1)からの引用で、ラザロはキリストによって死から蘇生された人物です。
ラザロ計画の先駆者たちの人数は12名でした。 イエス・キリストの12人の使徒と同じ人数でした。
また、絶望感から暴走してしまったマン博士のフルネームは、ヒュー・マンでした。 彼のとった行動は、いかにもヒューマン(人間)的な行いでした。
あれ?そう言えば・・・
無事にスペースコロニーを打ち上げて、人類は救済されバンザーイ。
・・・あれ、でもラザロ計画のプランAって、別の惑星への移住計画じゃなかったでしたっけ?
つまり、ラザロ計画はまだ目的の半分程度しか達成されていないということですよね。
人類のその後は、観ている方の壮大な想像力にまかせるのか、続編を期待するのかということになります。 私的には、続編を大いに期待します。
スピルバーグ監督だったかも
この作品は、映画「コンタクト」で協力した映画プロデューサーのリンダ・オブストと理論物理学者のキップ・ソーンにより考案されました。
スティーヴン・スピルバーグ監督が興味をしめし、脚本家のジョナサン・ノーランが脚本に加わり企画が始まりました。
しかしスピルバーグ監督は、自分の製作会社(ドリームワークス)をパラマウントからウォルト・ディズニー・カンパニーに移したため、パラマウントはこの映画の監督を新たに必要としていました。
そこで、ジョナサンは兄のクリストファー・ノーランを推薦し、この「インターステラー」が完成しました。
もし、スピルバーグ監督によって作られたら、どんな作品になったのか興味がわきますネ。
感 想
引用元:公式サイト / インターステラー
物語冒頭から砂が舞い散る日々の世界。
窓の隙間から容赦なく家に入り込む砂粒。
私、ハードコンタクトレンズを装着している関係で思わず、こんな近未来がきたら外で目を開けていられず、「辛いなー、しんどいなー」などと、これから人類の危機がくる壮大なドラマなのに、凄ーくちっちゃな心配をしてしまいました、恥ずかしいです。
閑話休題(≒ それはさておき)
またまた物語の冒頭で、クーパーの家で起こる数々の怪奇現象を観ていて、あれ?この映画はホラー映画だっけ?と思いましたが、終盤への伏線だったのですね。 よく練られたストーリー展開に、感心しました。
この作品は、人類史上もっとも過酷で重要なミッションに挑む人々を描いた感動の物語なのですが、その根底には「人類の愛」がテーマでした。
ラザロ計画の非情で残念な「プランB」ではなく、愛をつなぐことで達成された「プランA」の成功が物語っています。
また、クーパーがブラックホールを通り抜け、マーフの部屋にたどり着けたのも、四次元、いやいや、きっと愛の力だと信じます。
またこの作品は、現代の最新物理学を駆使したハードなSFモノでもありました。
相対性理論、多次元空間、特異点、スイングバイ航法、事象の地平線など、はぁ?何々?日本語が分かりません状態です。
ちなみに私、とりあえず理工学部卒で、物理学は好きな科目でしたが、ハード面は難解??でしたね。
でも、全然問題なかったです。
ハード面でついていけなくても、大丈夫なんです。
地球で生きられる人類の残り時間、科学者たちの限界、葛藤や絶望感、そして切なくなる音楽が合わさり、途中から胸を締め付けられるようで観ていてつらくなってきます。
つまり、それぐらい、この物語の世界に引き込まれてしまう証拠です。
映画としての完成度が、大変素晴らしいの一言で、最終的には感動しか残りませんでした。
最後に、クーパーとアメリアはどうなるのでしょう? アダムとイブ?
希望が膨らみ、想像をかき立たせるエンディングを終えて、充実した満足感を感じている自分がおりました。
個人的に、本作は間違いなくSF映画の最高傑作のひとつだと思います。
引用元:インターステラー / © 2014 Warner Bros. Entertainment Inc. and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.