ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が
独断と偏見でオススメする今日の一本は、パラマウント・ピクチャーズがおくる、スカイ・アクション映画「トップガン マーヴェリック」です。
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
作品紹介
2022年に公開された、アメリカ合衆国のアクション映画で、1986年の「トップガン」から36年ぶりの続編となります。
前作から30年後の設定。
ふたたび最高峰のエースパイロットたちが集まり、絶対不可能な極秘ミッションに挑むスカイ・アクション大作。
果たして、彼らは生還できるのか・・・
トム・クルーズ、ヴァル・キルマーが前作から続投し、新たにジェニファー・コネリー、マイルズ・テラーやグレン・パウエルら共演者が脇を固め、新たなトップガンの世界を魅せてくれます。
前作「トップガン」の監督であるトニー・スコットに、パラマウント映画は続編製作を提案してましたが、2012年に彼は自殺をしてしまいました。 このことにより企画進行が危ぶまれましたが、トム・クルーズとヴァル・キルマーが続編に高い関心を抱いていたこともあり企画が続行されたのです。
新たな監督に、SF映画「トロン:レガシー」で映画デビューを果たしたジョセフ・コシンスキーがつとめました。
第95回アカデミー賞では6部門にノミネートされ、音響賞を受賞。
アメリカの映画評論サイトのRottenn Tomatoesでは97%もの高評価を得ています。
北米では公開後週末3日間で約1億2670万ドル(約160億円)を記録。 それまでパラマウント・ピクチャーズの興行収入ランキングで首位だった「タイタニック」の初公開時の記録(約6億79万ドル)を抑え歴代1位となり、そして北米歴代興行収入で5位の成績となりました。
また全世界興行収入において、主演のトム・クルーズのキャリア史上最高額となる10億ドル超えを達成。 ちなみに、日本でも初日から3日間で、74万人以上を動員し、興行収入は約11億5756万円を記録するほど本作は大ヒットしたのです。
引用元:YouTube公式より / トップガン マーヴェリック 予告
見どころ&おすすめ
トム・クルーズは、「トップガン」の続編の製作権を誰にもわったさず、この作品が輝くのにふさわしいその時がくるのを待ち続けてきたほどに、本作への彼の熱い思いが伝わってくる出来栄えは要チェックです。
黄金色に染まる甲板上で、作業スタッフたちがフライトの準備をしていると、あの「デンジャー・ゾーン」がオリジナル・バージョンのままで流れます。 そうです、前作「トップガン」のオープニングを完全再現したところから始まる演出は、30年以上前の記憶を呼び覚まし、ふたたび高揚感を上げさせてくれるところが最初の注目ポイント。
今回初めて、この世界観に触れる方も、きっと同じような高揚感をおぼえるはずです。
そして、36年もの歳月が流れ還暦近いトム・クルーズですが、肉体の衰えを感じさせない驚異のバイタリティを披露する、ある意味賞味期限のない驚異的レベルの若さを披露するところは見どころでしょう。 おまけに、あの爽やかさも健在です。
トム・クルーズがマーヴェリック役をふたたび演じることで、物語に深みを加え、また新たな冒険へと導いてくれます。
究極のリアルを求めるトム・クルーズたち俳優陣が本物の戦闘機に乗り込んで撮影した、戦闘機による手に汗握る臨場感あふれるド迫力のスカイ・アクションは前作以上に必見。 最新の映像技術を駆使して描かれたスリリングな戦いが、観る者を引き込みます。
パイロットたちの友情と成長、マーヴェリックの内なる葛藤など、今回は前作からの因縁や懺悔(ざんげ)を描く世代を超えた熱いヒューマンドラマに心が揺さぶられるなど、よく考えられた脚本が大きな見どころのひとつ。
トム・クルーズのファンはもちろん、前作「トップガン」に魅了された方、空中戦などのスカイ・アクション映画に興味のある方におすすめします。
前作を観ていなくても楽しめますが、予習をしてから本作を観た方がさらに面白く、そして奥深いドラマを楽しめると思います。
出来れば大画面で迫力の映像を楽しんでいただきたい作品ですね。
本編130分もある、なかなかボリュームのある作品ですが、あっっっという間にエンディングを迎えてしまうほど、見入ってしまいますよ。
おすすめ度
★★★★☆ 4点
主要キャスト・スタッフ
ピート・ミッチェル(マーヴェリック)海軍大佐 (トム・クルーズ) |
ブラッドリー・ブラッドショー(ルースター)海軍大尉 (マイルズ・テラー) |
トム・カザンスキー(アイスマン)海軍大将 (ヴァル・キルマー) |
ペニー・ベンジャミン (ジェニファー・コネリー) |
ジェイク・セレシン(ハングマン)海軍大尉 (グレン・パウエル) |
ナターシャ・トレース(フェニックス)海軍大尉 (モニカ・バルバロ) |
ロバート・フロイド(ボブ)海軍大尉 (ルイス・プルマン) |
ルーベン・フィッチ(ペイバック)海軍大尉 (ジェイ・エリス) |
ミッキー・ガルシア(ファンボーイ)海軍大尉 (ダニー・ラミレス) |
ジェイビー・マチャド(コヨーテ)海軍大尉 (グレッグ・ターザン・デイヴィスス) |
ボー・シンプソン(サイクロン)海軍中将 (ジョン・ハム) |
ソロモン・ベイツ(ウォーロック)海軍少将 (チャールズ・パーネル) |
バーニー・コールマン(ホンドー)海軍准尉 (バシール・サラフディン) |
チェスター・ケイン(ハンマー)海軍少将 (エド・ハリス) |
ビリー・アワロン(フリッツ)海軍大尉 (マニー・ジャシント) |
ブリガム・レノックス(ハーバード)海軍大尉 (ジェイク・ピッキング) |
ローガン・リー(イエール)海軍大尉 (レイモンド・リー) |
ニール・ヴィキャンデル(オマハ)海軍大尉 (ジャック・シューマッハ) |
チェスター・ケイン(ヘイロー)海軍大尉 (カーラ・ウォン) |
他 |
監 督 | ジョセフ・コシンスキー |
脚 本 | アーレン・クルーガー |
エリック・ウォーレン・シンガー | |
クリストファー・マッカリー | |
原 案 | ピーター・クレイグ |
ジャスティン・マークス | |
製 作 | ジェリー・ブラッカイマー |
トム・クルーズ | |
クリストファー・マッカリー | |
デヴィット・エリソン | |
他 |
2022年 公開 131分 アメリカ・日 本
登場人物の紹介
ここでは、主要な登場人物のキャラクターを紹介します。
マーヴェリック(ピート・ミッチェル大佐)
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
勇敢かつ不屈の精神と優れた腕を持つアメリカ海軍のエースパイロット。
過去40年間の空中戦で、3機の敵機撃墜記録を持つ天才パイロットである。
出世とは無縁のアウトローな性格ながらも、若いパイロットたちを成長へと導く指導者である。
ルースター(ブラッドリー・ブラッドショ大尉)
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
アメリカ海軍所属のトップガン卒業生。
前作で事故死した、マーヴェリックの親友であり元相棒でもあるグースの息子。
マーヴェリックに責任はなかったが、ルースターは今でも彼を憎んでいる。
ペニー・ベンジャミン
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
海軍基地の近くでバーを営むシングルマザーで、アメリアという一人娘がいる。
マーヴェリックとは以前に付き合っていた元恋人で、彼が教官として復帰したことで再会を果たす。
ハングマン(ジェイク・セレシン大尉)
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
アメリカ海軍所属のトップガン卒業生。
自信過剰な性格でルースターのライバル。 マーヴェリックに認められるほどの腕前の持ち主。
フェニックス(ナターシャ・トレース大尉)
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
アメリカ海軍所属のトップガン卒業生。
唯一の女性パイロットで負けん気が強く野心的な性格だが、ルースターの良き友人である。
アイスマン(トム・カザンスキー大将)
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
かつてのトップガンで、マーヴェリックのライバルであったが、今は彼の良き理解者である。
現在は病に伏しているため会話をするのが厳しい状況であるが、マーヴェリックにトップガン卒業生の教官になるよう説得する。
サイクロン(ボー・シンプソン中将)
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
かつてのトップガンのエースパイロットで、現在は精鋭なパイロットたちの学びの場で副提督をつとめている。
過去の人間であるマーヴェリックを目の敵にしており、マーヴェリックに教官を退くよう命令した人物。
あらすじ
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
ピート・ミッチェル海軍大佐(通称:マーヴェリック)は、過去40年間において敵機を3機撃墜した米海軍唯一のエースパイロットである。
輝かしい戦歴とは裏腹に現場主義を貫き、出世とは無縁で昇進を拒み続けている彼は、部隊とひと悶着を起こしたため、スクラムジェットエンジン搭載の極超音速テスト機「ダークスター」のパイロットとして左遷されていた。
最高速度がマッハ10に達しないことで、ダークスター計画が凍結されてしまうことが伝えられると、マーヴェリックはマッハ10を達成しようと独断で無理をしたため、試みは失敗してしまい機体は空中分解してしまう。
命令に背いたマーヴェリックは、飛行禁止の危機に直面するも、かつてのライバルであり友人でもあるトム・カザンスキー海軍大将(通称:アイスマン)の強い要望で、ノースアイランド海軍航空基地のエリートパイロット養成学校「トップガン」の教官職を命じられ、30年ぶりに基地へ戻ることになった。
そんな時、ならず者国家がNATO条約に違反して、ウラン濃縮プラントを建設し稼働させようとしていた。
その国際的な危機を解決するため、そのプラントを破壊すべく特殊作戦が計画される。 この特殊作戦は、超低空・超高速で飛行しなければならない、極めて困難なミッションであった。
マーヴェリックは若き精鋭パイロットたちに、特殊対地攻撃作戦の訓練をほどこす教官として任命されたのだ。 だが、彼の型破りな指導に戸惑い反発する訓練生たち。 そんな訓練生の中に、かつてマーヴェリックとの訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子の姿があった。
果たして、マーヴェリックそして若きパイロットたちは、この困難なミッションを成功させることができるのだろうか・・・
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
「トップガン マーヴェリック」の魅力と謎を考察
オープニング
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
太陽の日差しを浴びて黄金色に染まる空母の甲板上で、重厚感のある金属音を響かせながらフライトの準備をするクルーたち。
そして、音楽が流れ始めると、文面が出てきます。
「1969年3月3日、米海軍はトップ1%のパイロットのために、エリート学校を設立した。 目的は、失われつつある空中戦の技術訓練。 世界最高のパイロット学校の呼び名は...トップガン」
そして、あの「デンジャー・ゾーン」が流れる。
そうです、前作「トップガン」のオープニングを完全再現した演出で、本作「トップガン マーヴェリック」がはじまるのです。
これでトップガンの世界へと、いっきに引き込まれていきます。
「トップガン」といえば「デンジャー・ゾーン」と、強烈に印象づけられてから30年以上が経ちましたが、前作を知る者にとっては、あの懐かしい記憶がよみがえり、当時と変わらぬ高揚感が味わえます。
本作が初めてという方でも、当時に味わった高揚感を同じように堪能できると思います。
「トップガン」も「アルマゲドン」や「フラッシュダンス」のように、音楽が映画の看板となる、この音楽を耳にすればこの映画を連想するような、音楽と映画を強力に結びつける作品でした。
それを続編の本作にも採用したとは、、流石よく分かっていらっしゃる。
「デンジャーゾーン」
ジョルジオ・モロダーが作曲、トム・ホイットロックが作詞し、米国のシンガーソングライターであるケニー・ロギンスが1986年にリリースした曲。
この楽曲は、「トップガン」のサウンドトラックアルバムからシングルカットされ、全米チャートで2位にもなったヒット曲です。
「トップガン マーヴェリック」で使うための新バージョンを検討しましたが、前作「トップガン」の曲を聴くことで、当時と同じ感覚を呼び起こしたいため、最終的にオリジナルのバージョンがそのまま使われることになりました。
まさに読み通り、当時の感覚がよみがえりましたよ。
ドッグファイト
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
前作での大迫力のドッグファイトは全て実機であり、アメリカ海軍の協力の下で戦闘機を飛ばして撮影されました。
本作ではさらにパワーアップされ、CGを極力排除した今回の圧巻のドッグファイトシーンもアメリカ海軍の全面協力によるものです。
ただ、クライマックスに登場するF-14 トムキャット戦闘機と敵の第5世代戦闘機の飛行シーンは全てCGとなりました。
今回、F/A-18戦闘機のコックピット内にIMAX(アイマックス)認証を受けたソニーのデジタルカメラ6台を搭載して撮影されました。 撮影されたトータル800時間もの膨大な映像から、厳選して織りなすリアルでド迫力のスカイ・アクションは、マニアならずとも垂涎(すいぜん)必死ものですね。
コールサインとは?
戦闘機のパイロットには、コールサインなるものが付けられております。
交信の際、その交信を傍受(ぼうじゅ)される可能性があるため、本名で呼び合うのを避けるのが主な理由で、似た名前による混乱を避けるためでもあります。
コールサインは非公式に付けられたあだ名のようなもので、自分自身で決めることができます。 軍規など命名に関する規則はなく、本人の特徴や出身地、性格、外観や、本名に由来するなどが多いのですが、中にはまったく関係のない個人の好みの名もあるとのことでした。
そこで、本作に出てくる代表的なコールサインの意味を調べました。
マーヴェリック=異端者、一匹オオカミ
アイスマン=冷静沈着
ルースター=オスの鶏(父親がグースなので、鳥つながり)
ハングマン=絞首刑の執行人
フェニックス=不死鳥
ペイバック=仕返し、報復
ボブ=baby on board(赤ちゃんが乗っています)の文字を取って、bob
サイクロン=台風、ハリケーン
ハンマー=金槌(かなづち)
いかがでしょうか。 コールサインと登場人物を比較しながら鑑賞するのも面白いと思いますよ。
前作と繋がる配役たち
前作では最大のライバルだった、沈着冷静なアイスマンはマーヴェリックとは正反対の性格でした。
本作では大将クラス、海軍においては提督の位に出世して、トップガンの中枢までに上りつめております。
咽頭がんを患い声が出せないヴァル・キルマー本人の状況が、そのまま本作の役に引き継がれています。
この2人は、ライバルでありお互いに実力を認め合った者同士でもある良き理解者なのです。 マーヴェリックが輝ける新たな道を、アイスマンはトップガンの教官職という道で彼に示しました。
次に教え子であるルースターも前作から繋がっております。
前作で事故死した、マーヴェリックの相棒にして親友だったグースの息子です。 マーヴェリックに責任はなかったのですが、息子のルースターは彼を恨んでいるようです。
そういえば前作でピアノ演奏をしていたグースの傍(かたわ)らにいた小さな少年で、本作では父親同様のひげをたくわえ、同じパイロットの職につきました。 また、バーではこれまた父親のようにピアノを弾いてます。
本作では、この2人の確執が人間ドラマの核心となっております。
最後に、パイロットたちの行きつけのバーの店主ペニー・ベンジャミンが今回のヒロインです。 前作ではマーヴェリックの恋人は、マーヴェリックの教官シャーロットだったので、ペニーとは繋がりませんね。
この謎は、前作の会話の中にありました。
グースの妻キャロルとマーヴェリックの会話の中で「あなたのことは、ペニー・ベンジャミンから聞いているわ」と話してました。 また、「マーヴェリックがデートしたことのある司令官の娘」との会話もありました。
想像するに、シャーロットの前に付き合っていた昔の恋人で、ある司令官の娘だったのではないでしょうか。 古巣の基地近くで昔の恋人と再会し、ふたたび深い仲になるという、現実味のある設定なので、違和感なく本作に引き継がれました。
マーヴェリックとアイスマン
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
かつて、どちらがトップガンでの技量が一番上かを競い合った、マーヴェリックとアイスマン。
最後までパイロットでいたいマーヴェリックとは反対に、アイスマンことトム・カザンスキーは大将の地位まで登り詰め、アメリカ太平洋艦隊司令官となって海軍人生を極めました。
2人が再会した時、マーヴェリックは「司令官」と声をかけたのに、アイスマンは「やあ、相棒」と返すセリフは、胸にジーンと沁みる好きなシーンです。
そして別れ際、アイスマンが「最後にひとつ。 パイロットとして上なのは?」とたずねます。 すると「素晴らしいひと時だった。 台無しにしないでおこう」と笑顔で返すマーヴェリック。
トップガンとして腕を競い合った2人は、今では心を許しあえる仲になったと同時に、2人は今でも良きライバルであることが分かる会話でした。
マーヴェリックとルースター
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
トップガンの訓練生の中に、マーヴェリックの今は亡き相棒グースの息子ブラッドリー・ブラッドショー(通称:ルースター)がいます。
ルースターは、教官のマーヴェリックに怒りをあからさまにぶつけてきます。
グースの死は、訓練中に起きた機体の故障によるもので、マーヴェリックに責任はありません。 ルースターが怒りをぶつけた理由は、海軍への志願書をマーヴェリックが破棄したため、4年も彼の入隊が遅れたことだったのです。
ただ、マーヴェリックが行った理由は、息子を海軍に入隊させたくないグースの妻キャロルの思いを汲んだからでした。 息子を父親のように失いたくない母親の当然の気持ちでしょう。
しかし、ルースターは自力で海軍に入隊し、実力でトップガンまで登り詰めたのです。 マーヴェリックとルースターとの因縁も、一緒に飛ぶことで解消していきます。 ルースターがグースと同じ姿でピアノを弾くシーンは、血は争えないなと、感慨深く感じるところです。
自分の知らないところで、そんな細工をされていたら、そりゃー怒りますよね。
ただ、グースに息子の勇姿を見せてあげたかったな(涙
主題歌「Hold My Hand」
アカデミー賞授賞式で見せた、レディー・ガガの圧倒的なパフォーマンスは、そのステージに似つかわしくないジーンズにTシャツ姿と無造作に束ねた髪、というラフなスタイルでした。 飾らず、楽曲と歌唱力のみで映画に込められた熱い思いを会場の皆さんに伝えました。
そして、この新たにテーマ曲として採用された「Hold My Hand」は、第95回アカデミー歌曲賞にノミネートされたのです。
この楽曲も、いつまでも人々の記憶に残り続けていくと感じます。
引用元:YouTube公式より / Lady Gaga – Hold My Hand [Official Music Video]
「トップガン マーヴェリック」に登場する機体を解説
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
本作では、マーヴェリック率いるトップガンチームが任務で使用していた戦闘機。
F/A-18E/Fは、ボーイング社が開発した制空戦闘、各種攻撃任務、偵察などの任務を実施できる多用途戦闘機(マルチロール機)であり、単座式のF/A-18Eと複座式のF/A-18Fからなる第4.5世代に分類されるジェット戦闘機です。
愛称は、ホーネット(スズメバチ)を超越しているという意味を込めて「スーパーホーネット」と呼ばれているそうで、現在もアメリカ海軍とオーストラリア空軍で採用されています。
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
本作では、敵が乗っている戦闘機。
多分、Su-57戦闘機で、ロシアのスホーイ社が開発し、コムソモーリスク・ナ・アムーレ航空機工場が製造した多用途戦闘機です。 第5世代に分類され、高いステルス性能、レーダー性能、そしてマッハ2の最高速度を発揮するジェット戦闘機で、アメリカ軍のF-22やF-35に対抗すべく開発されました。
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
「トップガン」といえば、この戦闘機が代名詞のような機体。
F-14トムキャットは、当時のグラマン社が開発した可変翼と長距離ミサイルの運用能力を特徴とした第4世代のジェット戦闘機で、防空に特化した能力を持っています。 1973年から配備されていましたが、F/A-18戦闘機への機種転換が進み、2006年に完全退役しました。
愛称のトムキャットは、可変翼の動きが猫の耳の動きに酷似していることから、オス猫を意味するトムキャット(Tom’s Cat)から付けられました。
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
マーヴェリックが所有しているレシプロ戦闘機。
P-51 マスタングは、アメリカ合衆国のノースアメリカン社が1940年に開発したレシプロ単発単座戦闘機。 同世代機を凌駕する速度、運動性能や積載量を有し、爆撃機の護衛や対地攻撃で活躍しました。 とくにロールスロイス製のエンジンを搭載した後期型は「第二次大戦中後期の最優秀戦闘機」と評価されます。
愛称の「マスタング」とは、スペイン人によって北アメリカ大陸に持ち込まれ野生化した小型の馬のことをいいます。
裏話あれこれ
トム・クルーズは、航空機操縦資格を保有しているが、高Gに耐えることが必要なF/A-18E/F戦闘機の操縦は許可されなかったため、その飛行映像は海軍の現役パイロットが行ないました。
物語の冒頭と終盤に登場するP-51レシプロ機は、トム・クルーズの自家用機を使用して撮影されました。
前作でマーヴェリックの年上の恋人チャーリー役を演じたケリー・マクギリスには、出演のオファーは来ませんでした。 彼女はその理由として、年齢相応(撮影時は61歳)に容姿が変わり肥満体形になってしまったことが原因だと考えているようです。
そこで、男盛りのマーヴェリック(でも、トム・クルーズは撮影時、56歳)の相手役には、前作で二度名前が出ただけで画面には登場しなかったペニー・ベンジャミン(演じたジェニファー・コネリーは撮影時、48歳)が新たに起用されました。
当初は2019年7月12日に公開される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行、トム・クルーズのスケジュール調整や同時期公開予定の作品の影響で、4回も公開が延期され、最終的に2022年5月27日に日米同時公開となりました。
感 想
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.
前作「トップガン」は大ヒットしたけど、内容がチープだとの批判がありました。
確かにそうかもしれません。 ただ正直、個人的には「トップガン」に深いドラマなんて求めてないのです、ベタでいいんです。 みなさんもそうだと思いませんか。
本作も予想通りベタな展開で進みます。
窮地に追い込まれるマーヴェリックをアイスマンが救い、若きパイロットたちとの葛藤と挫折を経験し、信頼していた友アイスマンとの別れがあり、そして新たなヒロインからの咤激励(しったげきれい)を受け奮い立つマーヴェリック。 最後は、困難なミッションをクリアしてのハッピーエンド。 ベタですね〜。
そんなベタな展開でも、しっかり感動するんです。 ちゃんと本作には、感動を増幅させるアイデアがありました。
若きパイロットたちから信頼を受け、マーヴェリックがチームとしてミッションに挑むころには、前のめりで食い入るように興奮。
さらに、マーヴェリックの窮地を相棒の息子が助けて感動し、なんと!前作での愛機F14トムキャットが登場して驚き、そして大興奮。
なんで、そこにF-14トムキャットがあるんだ??
そんなこたぁー、どうでもいいんです。
もう、ベタもここまでくると、究極の領域「神ベタ」ですよ!
そこへ、素晴らしい手に汗握る迫力の映像が加わり、興奮は最高潮へ。
マーヴェリックが無事に帰還すると、女性トップガンのフェニックスが「彼がエースよ」の一言で、ジーンとまた感動。 最後に、マーヴェリックとルースターが親子のように一緒に飛行機を整備している姿や、ルースターとマーヴェリックの写真と父親グースとマーヴェリックの若いころの写真が並んでいるのを、微笑みながら見比べているルースターの姿に胸が熱くなって目が潤った。
この作品に、ドラマの深さなんて求めていません。
徹底的にベタに徹し、だけど観る者の期待にしっかりと応えるさまに、これほどプロの仕事を見せつけられた作品は滅多にお目にかかれません。
そして、アイスマン役を演じたヴァル・キルマーは、咽頭がんのため会話をすることができない状態です。 そこで音声AIを使って彼の声を再現しました。 技術の進歩が彼の声を復活させたのです。
そんな彼は本作への出演を熱望したため、喉のがんを患っている司令官役の設定での出演となりました。
2人がパソコンで筆談する姿は、ジーンと胸にしみます。
前作「トップガン」でマーヴェリックのライバルとして立ちはだかったアイスマンは嫌いでしたが、本作ではマーヴェリックの良き理解者として、とても良い人になっていましたね。
地位にけっして胡坐(あぐら)をかかず、尖(とが)ったところがなくなった彼を見ていると、良い年の取り方をしたんだなと、しみじみ感じます。
最後に、この映画を観て気がついたことがあります。
トム・クルーズの姿は、マーヴェリックそのものでした!
30年以上現役で高みを目指してきたが、時代は有人戦闘機から無人戦闘機へシフトされる過渡期で、明らかに時代から取り残された男マーヴェリックだが、それでも現役パイロットにこだわり、その生き様を若手のパイロットたちに継承する姿が描かれています。
一方、還暦の近いトム・クルーズだが、このCG全盛時代のなか自ら危険なスタントマンをこなし、躍動する肉体を披露する姿は、もう時代遅れなのかもしれません。
「そうだとしても、今日じゃない」と、必死に自分が信じる映画を守り続け、若手俳優たちに身をもって継承している姿がダブってしまいます。
いつか時代遅れになることを知りつつ、愚直なまでに真っすぐ映画に向き合うトム・クルーズに敬意を表します。
引用元:トップガン マーヴェリック / © 2022 Paramount Pictures.