ジャンルを問わず一年中、映画漬けの生活を送っている、自称ゆるーい映画オタク⁉の私が
独断と偏見でオススメする今日の一本は、ユニバーサル・ピクチャーズがおくる、SFコメディ映画「宇宙人ポール」です。
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
作品紹介
2011年にイギリス・アメリカで製作されたSFコメディ映画で、とにかくSF映画への愛が、思いっきり込められた作品です。
物語の随所に「未知との遭遇」「E.T.」「トータル・リコール」「メン・イン・ブラック」「スタートレック(宇宙大作戦)」「プレデター」などなど、数々のSF映画への愛とオマージュを込めたネタが本作には仕込まれており、きっとSF好きの琴線(きんせん)に触れるであろう作品です。
多くの作品でコンビを組んできた、サイモン・ペッグとニック・フロイト、この2人が主役で出演し、本作では脚本も担当しています。 監督には、日本では劇場未公開作品が多いグレッグ・モットーラが才能を発揮しました。
そして物語のラスボスには映画「エイリアン」のリプリー役を演じた、あの女優が登場! さらに、スティーヴン・スピルバーグも本人の声でカメオ出演しているなど、話題満載の映画です。
SFオタクでイギリス人のグレアムとクライヴの2人は、念願だったコミコンの祭典とUFOスポットをめぐるアメリカの旅を、キャンピングカーを使って楽しんでいた。
コミコンを堪能した2人は、ネバダ州のエリア51付近にさしかかったところ、暴走気味のクルマが事故を起こしてしまい、様子を見に行った2人の前に現れたのは、ポールと名乗る宇宙人だった。
ここから、ポールを故郷の星に帰すため、悪戦苦闘の旅が幕をあけるのだ・・・
引用元:YouTube公式 / 「宇宙人ポール」
見どころ&おすすめ
さまざまなコメディ映画でコンビを組んできたイギリス人の、サイモン・ペッグとニック・フロストの2人が、コンビを組んで面白くないわけがありません。
今回は気の弱そうなSFオタク役で、笑いを届けます。
陽気なエイリアンをはじめ、個性豊かな多くのキャラクターたちによって、奇想天外な展開が繰り広げられるハチャメチャ珍道中は、笑がとまらない抱腹絶倒をお約束します。
いい意味で、どこかB級映画の雰囲気を漂わせている作品ですが、映画としての完成度は素晴らしく、見ごたえ十分。 わかりやすいストーリー展開で、観ている人をハラハラ笑笑させて最後まで飽きさせません。
この「宇宙人ポール」は笑って楽しんで、感動して涙し、そして考えさせられたりと、かなり攻めた盛りだくさんの内容です。
きっと、想像以上の感動をこの映画が与えてくれることに、あなたは驚きますよ。
また、過去の名作映画のオマージュ的ネタを見つけて、ニタニタするのも一興(いっきょう)かと。
SF映画、コメディ映画好きの方にはもちろんおすすめですが、あまりSF映画を観ない方や、ネタを知らない方でも、十分に楽しんでいただける作品だと思います。 とにかくSF映画が苦手な方にこそ、ぜひ観てもらいたい作品です。
カップル、友人、家族など大勢で観ると特に盛り上がるので、おすすめです。
できれば、ビールとポテトチップスをお供にどうぞ。
少々お下品な言葉や下ネタがあるので、お子様のご鑑賞にはくれぐれもご注意ください。
おすすめ度
★★★★☆ 4点
主要キャスト・スタッフ
グレアム・ウィリー (サイモン・ペッグ) |
クライヴ・ゴリングス (ニック・フロスト) |
ポール:宇宙人 (声:セス・ローゲン) |
ルース・バグス (クリステン・ウィグ) |
ゾイル捜査官 (ジェイソン・ベイトマン) |
ハガード捜査官 (ビル・ヘイダー) |
オライリー捜査官 (ジョー・ロー・トルグリオ) |
タラ・ウォルトン (ブライス・ダナー) |
モーゼ・バグス (ジョン・キャロル・リンチ) |
ビッグ・ガイ (シガニー・ウィーバー) |
他 |
監 督 | グレッグ・モットーラ |
脚 本 | サイモン・ペッグ |
ニック・フロスト | |
製 作 | ニラ・パーク |
ティム・ビーヴァン |
|
エリック・フェルナー |
|
製作総指揮 | ナターシャ・ワートン |
デブラ・ヘイワード | |
ロバート・グラフ | |
ライザ・チェイシン | |
他 |
2011年 公開 104分 イギリス・アメリカ・日 本
登場人物の紹介
グレアム・ウィリー
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
クライヴの小説の挿絵を描いているイラストレーターで、イギリス人のSFオタク。クライヴとは幼いころからの親友。
クライヴ・ゴリングス
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
SF小説家でイギリス人。 グレアムとは同じ趣味を持ち、こちらもSFオタク。 グレアムといつも一緒にいるため、ゲイとよく間違えられる。
スタートレック好きが高じて「クリンゴン語」が話せる。
ポール
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
60年間も政府に幽閉されていた、グレイ型の宇宙人。
さまざまな特殊能力の持ち主で、姿を消したり、他者の脳へ情報を伝えたり、他者の怪我や病気を自分に移し治してしまう能力を持っている。 地球での暮らしが長いので、りゅうちょうな英語を話せる。
もともと、地球には科学調査のためにやってきたが、宇宙船が墜落して囚われの身となってしまう。 長年政府に協力してきたが、ポールの特殊能力が欲しいため、解剖されそうなところで脱出をはかる。
ルース・バグス
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
家族で経営しているRVパークで、受付を担当している女性。 病気で左目を失明している。
キリスト教徒の父の影響で、宇宙人の存在を否定していたが、ポールの能力で左目を治してもらったことから、考え方をあらためる。
ゾイル捜査官
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
政府のエージェント。 上司のビッグや部下たちに振り回されながらも、執拗にポールたちを追いかける捜査官。
実はポールの内通者。 とあることで、ポールに恩を感じている。
タラ・ウォルトン
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
60年前、ポールが最初に接触した地球人女性。 深手を負ったポールを手当し、墜落に巻き込まれた愛犬の名前をポールに与えた名付け親でもある。
モーゼ・バグス
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
ルースを男手一つで育てた父親で、厳格で偏狭的な性格のキリスト教徒。
ビッグ・ガイ
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
逃げたポールを、ゾイル捜査官たちを使って連れ戻そうとする政府の人間。
簡単な、あらすじ
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
SFオタクでイギリス人のグレアムとクライヴの2人は、コミコン・インターナショナルへの参加とSFの聖地巡礼を巡るため、キャンピングカーでアメリカ旅行をしていた。
コミコンを堪能した2人は、SFの聖地を巡る旅を楽しんでいた。 そしてネバダ州のエリア51付近にキャンピングカーがさしかかったところ、自分たちのキャンピングカーを暴走気味のクルマが追い越していった。
その後、そのクルマが事故を起こしてしまう。 その事故の様子を恐る恐る見に行った2人の前に現れたのは、本物のグレイ型の宇宙人だった。
ポールと名乗るその宇宙人は「数十年前に地球にやって来て、今まで政府に協力していた」と話す。 長く地球で暮らしていたためか、地球語(英語)が堪能であった。
しかしポールは、政府の役人によって解剖されそうになったため、実験室から脱走し逃げていたのだった。
そしてポールは、グレアムとクライヴの2人に、仲間の宇宙人が迎えに来る地点まで送って欲しいと頼む。 2人は宇宙人を見捨てるわけにはいかず、ポールをその場所まで送り届けることにした。
途中で、病気で左目が見えない女性ルースも同乗し、4人のアメリカ大陸縦断の旅がはじまる。
旅の道中、政府のエージェントたちが、ポールを捕獲するため一行に襲いかかってくる。 しかしポールの特殊能力である、姿を消す、傷を治す、テレパシーのような能力などを駆使して、数々の困難を乗り越えていく。
はたして一行は、政府のエージェントたちから逃げきることはできるのか。
そして、ポールは無事に自分の星に帰れるのか。
こうして、グレアムとクライヴ、そしてポールの奇妙な冒険旅行が幕をあける。
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
「宇宙人ポール」の秘密を探る
数々の作品へのオマージュを紹介
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
「スタートレック」のクリンゴン語をクライヴが話し、聖地巡礼中に2人は「スタートレック」ごっこをして遊んでいます。
3つのオッパイは「トータル・リコール」から。
ポールが姿を消すのは「プレデター」の能力だし、指でプレデターの牙を作り、声真似もしています。
捜査官をピーター・パーカーと言いますが、これは「スパイダーマン」の主人公の名前でした。
ポールたちが居場所を知らせるため、花火を買いに行くシーンと花火打ち上げシーンでは「未知との遭遇」の象徴的な音階「レ・ミ・ド・ド・ソ」が流れます。
また、デビルスタワー自体が「未知との遭遇」に登場しますし、UFOが来たと思ったらヘリコプターだったシーンも、懐かしい場面です。
ポールがスピルバーグ監督に「E.T.」のアイデアを提供するシーンは、スピルバーグ本人がカメオ出演し、スピーカーから流れている声も本人の声です。 これには驚きました。
政府の内通者ゾイルが、ポールとの別れ際に「じゃあな、ショート・ラウンド」と話すシーンでは「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」に出演していたアジア人の青年の名前と同じ、ショート・ラウンドという名でしたね。
この他「ジョーズ」のセリフなど、スピルバーグ監督の作品へのオマージュを深く感じられます。
それと、「X-ファイル」のモルダーは、ポールのアイデアだった小ネタもありました。
最後にラスボス的存在の政府役人ビッグ・ガイを演じたのは、「エイリアン」シリーズでリプリー役でおなじみのシガニー・ウィーバーでした。 これにはびっくりで、「エイリアン」へのオマージュを感じました。
タラ・ウォルトンが、ビッグ・ガイを殴ったときに言うセリフ「彼女から離れな、ビッチ」は、「エイリアン2」でリプリーが少女ニュートをエイリアンクイーンから守るときに言うセリフと同じです。
ポールを追う捜査官たちは黒ずくめのスーツ姿ですが、これは「メン・イン・ブラック」のエージェントと同じ服装でした。
物語の中盤で、グレアム、クライヴ、ルース、ポールの4人が焚火を囲んでマリファナを吸いながら語り合うシーンは「イージー・ライダー」へのオマージュです。
そう言えば「イージー・ライダー」で、なぜ宇宙人は地球人にコンタクトしてこないのかという疑問を話し合っていましたね。
まだまだ他にも、色々なオマージュが隠されていると思います。
それらを探すのも、この映画の楽しみ方のひとつです。
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
ちょこっとトリビア
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
サイモン・ペッグとニック・フロストは、本作の脚本を作るにあたって、キャンピングカーを借りてアメリカの各地を、撮影で使用する場所などを事前に下見(ロケハン)して周っていました。
物語で登場する実在のドライブイン「リトル・エイリ・イン」で2人は、おしゃべりなウェイトレスと喧嘩腰の地元民に遭遇したそうです。
「これは映画の中で、良いアクセントになる」と感じた2人は、この出来事を作品の中に盛り込むことにしました。
それが本作の序盤、グレアムとクライヴがドライブインで、おしゃべりなウェイトレスとちょっかいを掛けてくる不良に出会うシーンとなって表現されています。
もうひとつ。
ポールが最初に接触する地球人女性タラを演じたのは、ブライス・ダナー。
そしてブライスの娘は、有名な女優のグウィネス・パルトローですが、そのグウィネスの名付け親はカメオ出演したスピルバーグ監督でした。
さらにグウィネスの娘の名付け親は、グレアム役を演じたサイモン・ペッグでした。
出演者が親子3代にわたってご縁がある映画というのは、なかなか無いのではないでしょうか。
コメディ映画だけど、ウルっとくるシーン
60年ぶりにタラと再会を果たしたポールが、ぬいぐるみを返すシーン。
ポールが政府機関に連れて行かれとき、なぜか一緒に持って行った熊のぬいぐるみ。 彼がいつの日か彼女に返そうと、大事に持っていた熊のぬいぐるみ。
ポールから受け取ったぬいぐるみを、タラが大事そうに抱きかかえ「ありがとう」と言うシーンは、お互い長い年月を経ても、なお初めて会ったときの気持ちのままだったと思わされて、グッと込み上げるものがありました。
ポールがタラに、一緒に行こうと誘うシーン。
ポールがグレアムたちと最後の別れをするとき、タラに「一緒に行こう」と誘います。 自分のせいでつらい人生を送ってしまったタラに、ポールは責任を取る意味で、タラに新しい人生をプレゼントしたいと考えました。
タラは一瞬悩みますが、快諾します。 今のタラには、友人はいない、そして家も失い、そんな地球には未練なんてなかったのでしょう。
ポールの優しさにウルっとなり、心が温まりました。
感 想
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.
この映画、作品名やパッケージからB級感が漂うので、未だ鑑賞されていない方も多いと思います。 しかし、数々の名作品への愛を盛り込みつつ、笑や感動などのツボをしっかりおさえた隠れ名作、観ないのは絶対もったいない作品だと思います。
大人が見るエイリアンもので、これくらい砕けた作品もありです。 例えるなら、アダルト版の映画「E.T.」という感じでしょうか。 個人的には「E.T.」より、こちらの映画の方が断然スキ。
またこの映画、ふたを開けてみると、SFオタク2人と宇宙人を宇宙に帰すまでの、ロードムービーでもあるんです。
いつか自分も、アメリカ大陸の荒野をキャンピングカーに乗って縦断してみたいと思わせてくれるので、旅がしたくなるロードムービーものとしても最高の映画だと思いました。
イギリス人のサイモンとニックが、脚本にたずさわっているので、イギリス人目線からのアメリカに対しての皮肉が結構強烈なんですが、嫌味なく笑えるのは流石です。 こういった大人の遊び心が、観ている方を大いに盛り上げ、さらに映画の中に引き込んでいきます。
また一方で、おバカな展開だけではなく、キリスト教への皮肉やアメリカ中西部の閉鎖的な考え方を取り上げているなど違った一面が見えて、この映画の魅力がさらに増しているのが素晴らしいところです。
そして、ポールについて一言。
テレパシー、ヒーリングに透明機能などさまざまな能力を持っていますが、それ以上に彼?はアメリカ人より陽気なアメリカンで宇宙人なのに物凄く人間味があって、キュートでナイスガイなヤツです。
ポールはCGだけど、すっかり感情移入しちゃいました。
ポール、イケてるよ!
悪い奴らやは出てくるし、死人も出るけど、どれもなぜか後味が悪くならず、始まってから終わるまで、ずーっと楽しく観ていられます。
コメディ映画だからとなめていた訳ではないけれど、まさか感動させられてウルっときている自分に、ビックリでした。
とにかくこの映画を知らない方、SF映画が苦手な方は、百聞は一見に如かずデス。
「宇宙人ポール」超おすすめデス!
引用元:宇宙人ポール / © 2011 Universal Studios. All Rights Reserved.